著作権法で著作権者として守られるためには、大前提としてその創作が「著作物」であるという要件を満たしていなければいけません。では、著作物とはどのようなものなのでしょうか

あいぴー
チーたん!新しいゲームを発明したで!題して「いんじゃんホイ」!
特許出願の準備しといてや〜
チーたん
ち、ちょっと待ってよ、あいぴー。本気で言ってるの?
あいぴー
は?
チーたん
ゲームのルールなんかで特許を取れるわけ無いでしょ!大体、じゃんけんなんて大昔からあって全然目新しくないし
あいぴー
そか、間違っとったわ。著作権やったな
チーたん
著作権も無理だから!
あいぴー
ああいえばこういう。チーたんはいつからそんなわがままな子になったんや!
チーたん
あいぴーは社長なんだから、いい加減知的財産権のイロハくらい理解してよ!
ふっくん
難しいことが嫌いなあいぴーのために、著作権法のごく基礎的なことについてご説明いたしましょうか。特許については知財部員のチーたんが知っていればいいですよ
チーたん
ふっくん、お願い!あいぴーのおバカ具合にはついていけない
ふっくん
では、まずは著作物についてご説明いたしましょう。

著作権法では著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と定義されています。

あいぴー
創作的に表現?
ふっくん
創作的に表現というのは、著作権法において、アイデアは保護せず、具体的な表現だけを保護するということを意味しています。アイデアは特許法で保護されます。

ちなみに、著作権法で問題となるときの「アイデア」というものは、大抵特許を取れるようなレベルに達していない思想であることが多いと思います。

チーたん
たとえば、ドラえもんを真似たキャラクターグッズを作ると著作権侵害になるけど、「猫の姿をしたロボット」というコンセプトでキャラクターグッズを作ることはアイデア的には似ているけど著作権侵害にはならないんだよ。
あいぴー
そんなの、ドラえもんに似せておいて「アイデアが似ているだけです」って言えばエエやん
チーたん
外形的に見て「パクリ」かどうかは簡単にわかると思うけどね。赤の他人が水色の耳がない猫型ロボットのぬいぐるみを販売していたら100人中99人は「ドラえもんのパクリだ」って言うと思うし。
ふっくん
ミッフィーとキャシーのように微妙な例もありますけどね。裁判所では、個別具体的に判断されますよ。

とにかく、「創作的に表現」とは、他人の模倣でなく、著作者自身が表現したものであることが必要だと覚えてくれればいいです。

斬新なもの、文化的価値があるものであることは求められていません。ですから、あいぴーの書いた下手な絵であっても創作性があるんですね。

なお、当たり前ですが、単純な記号や図形などあまりにもありふれた表現方法は認められませんよ。

チーたん
アンパンマンは幼稚園児が好んで地面に描くくらい簡単な絵だけど著作物性はあるの?
ふっくん
もちろんありますよ。

単なる丸だけ、四角だけ、ではありませんからね。

あの朗らかな優しそうな顔は十分に著作物性を有します。

チーたん
創作的に表現ということは、表現する前のアイデアや思想の段階では著作物とはいえないんだよね?
チーたん
そうなりますね。

あいぴーが特許を取ろうとした「いんじゃんホイというゲームのルール」はアイデアに過ぎませんよね。ですから著作物として著作権法で保護されることはありません。

もちろんゲームのルールのアイデアなどで特許をとることもできません。

チーたん
でもね、あいぴーがゲームのルールブックを書いたら、その本は著作物として保護されるんだよ。

別の人が同じゲームについてその人独自の言葉でルールブックを書いたらその人にそのルールブックの著作権が発生するし。

あいぴー
???
ふっくん
本にしたということは具体的に表現されていますからね。

もちろん本だけでなく、ブログに記事をアップした場合もきちんと著作物として保護されます。保護されないのはあくまでも「表現される前のアイデア」なんですよ。

具体的に表現された後は著作物として保護されますから安心してください。

たとえば、このサイトのこの記事もきちんと著作権法で保護されていますから、無断で自分が書いたようにこの記事の文章を使ってしまうと著作権侵害になってしまうんですよ。

この記事の文章を紹介したい場合には引用の要件を守って適切に引用すれば著作権侵害とはなりません。

あいぴー
知的財産権ってホント難しいわ・・・
チーたん
こんな初歩的なところで躓かないでよっ
ふっくん
さて、著作権法2条1項の定義の続きですが、著作物であるためには、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であることが必要です。
あいぴー
うちの書いた天才的な文章は、文芸かもしれんし学術に分類されるかもしれん
ふっくん
著作物であるためには、この4つの範囲のどれかに属するものであればよく、どれに属するかによって法的効果が変わるものではありませんから安心してください。
あいぴー
わかりにくいから具体的を挙げてほしいんやけど・・・

ふっくん
著作物の具体例として、言語の著作物、音楽の著作物、絵画の著作物など9つが例示されています(10条1項)。

著作物の例示

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物

ふっくん
10条1項に挙げられた例は、あくまで例にすぎません。ですから他にも著作物に該当するものがありますよ。

ただ、著作物といえるかどうかは2条の定義に当てはまるものでなくてはなりません。

「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならないので、単なる事実やデータは著作物といえません。

チーたん
たとえば、「あいぴーの身長は145センチで体重は40キロ」という事実や「2018年2月に仮想通貨ビットコインが10%の安値を更新」といった事実は著作権法で保護されないんだよ
あいぴー
うちの体重は38.5キロや
ふっくん
この著作権法10条に挙げられている著作物については意外と難しいんですよ。

たとえば、3号は日本舞踊、バレエなどの振付が該当しますが、振付自体が舞踊の著作物であって、これをもとに演じられる踊りそのものは実演として著作隣接権の保護を受けます。

あいぴー
ちょさくりんせつけん???
ふっくん
これは勉強が進んでからでいいですよ。まずは基本の著作物を抑えましょう。
チーたん
著作権法10条1項4号の美術の著作物も難しいよ。美術の著作物には、絵画、版画、彫刻などの美術作品が該当するけど、美術の著作物には、「美術工芸品」が含まれるんだ(著作権法2 条 2 項)。

そして、茶碗や壺、刀剣等の観賞用の一品制作品は美術工芸品として保護される。その一方、工業製品は著作物と認められないんだ。

だから、単なる工業製品か美術工芸品かで争いが起きることもよくあるよ。

ふっくん
これについては実際の裁判例を見るのがわかりやすくて良いでしょう。
あいぴー
著作権法なんて嫌いや
ふっくん
法律家になるわけではないのですから細かいルールを覚える必要はありませんよ。あいぴーの場合は一般人として、最低限のルールを覚えておけば良いでしょう。

ただし、法律家を目指す人やブログなどで人に著作権法を説明しようとする人はきちんと勉強をしなくてはいけませんよ。特に、半端に勉強して得た不完全な知識をインターネットで公開してしまうと、嘘を拡散することになってしまいますからね

あいぴー
その最低限のルールが難しいんや
ふっくん
いざとなったら私が教えて差し上げますから基本的なことは知っておいてください。
チーたん
少なくとも、ゲームのルールは著作物に該当しないということくらいは知っておいてほしいな
あいぴー
チーたんも、うちの会社でずっと働いているんやから、うちが勉強嫌いということくらいは知っておいてほしいわ
チーたん
威張って言わないでよっ(- o-;