政府は医療費を抑制するためにジェネリック医薬品の普及を進めています。

「厚生労働省の承認を得ているので安全性は同じ」「研究開発費がかからないので効果は同じで安い」ので魅力的ですが、先発医薬品(新薬)と比べ問題はないのでしょうか。

また、他のジェネリック、たとえばジェネリック家具やジェネリック家電についてはどうでしょうか。

 

あいぴー
薬局に行ってきたんやけど、薬剤師さんに「ジェネリック医薬品にしますか?」って聞かれたわ。効果は同じで安いらしいからそれでお願いしますって言ってもーたけど本当に大丈夫なんかな?
ふっくん
薬によってはちょっと危険かもしれません。
なぜなら、先発医薬品の「物の特許」の特許権の存続期間は満了していたとしても、まだ「製法特許」が残っている場合があるからです。
あいぴー
特許の話はわからんわ
チーたん
「物の特許」というのは薬そのもの、つまり有効成分を有する薬に関する特許だよ。一方、「製法特許」というのは、「物の造り方」の特許のこと。
ふっくん
そうです。
たとえば、Aという薬を作る方法Bについて特許が取得されておりまだ存続期間が満了していない場合、後発医薬品自体を作ることは出来るのですが、製法Bを使って造ることはできません。

ということは、添加物を添加する順番などが変わることにより、最終製品である「物=薬」が変わってきてしまう可能性があります。
つまり、新薬Aと後発医薬品とでは全く同じ効果を有する薬ではない可能性があります。

そのため物としては同じように見えても、有効成分が早く吸収されてしまったり逆にいつまでも吸収されなかったりということがおきます。

それによって薬が効き過ぎたりほとんど効果がなくなったりします。

チーたん
薬が効き過ぎるということは副作用が出やすくなるということだし、薬が効かないということはいくら安いからといって買っても意味が無いということだよね。
ふっくん
そうなりますね。
チーたん
じゃあ、製法特許も切れている薬を買えばいいんじゃない?
ふっくん
たとえ物の特許権も製造方法の特許権も切れていたとしても、後発医薬品メーカーは同じものを創れない可能性があります。
チーたん
なんで?
ふっくん
なぜなら、特許の明細書に記載しない「ノウハウ」というものが医薬品メーカーには存在するからです。
チーたん
「このタイミングでこれだけ添加するという肌感覚で身につけた技術」みたいなもの?
ふっくん
そうですね。そういった職人技もノウハウですし、他にもノウハウはたくさんありますよ。

特許権を取得していないだけで有効な技術というものもありますし。
全ての技術を特許化するとは限らないでしょう?

チーたん
同じ筆、同じ絵の具を使って描いてもプロが描いた絵画とあいぴーが描いた絵は全然違うからそれと同じようなものかな
ふっくん
極端な場合、それくらいの差がでるでしょうね
ふっくん
ただ、だからといってジェネリック医薬品は止めたほうがいいというわけではありません。

安いということは大きな魅力だからです。

これから超高齢化社会に突入し、医療費の負担は増すばかりです。そんなときにジェネリック医薬品は危険だからという理由で皆が拒否していたら、どうなるでしょう?

だいたい、日本は全ての国民に何らかの保険への加入義務があります。そのため、大した病気や怪我でなくてもとりあえず行こうというような人が増えてしまいます。

あいぴー
アメリカみたいに医療費が自己負担やったらちょっとした病気なんかじゃ病院へ行かないけれど、日本だと安いからすぐに病院へ行こうと思ってしまうわ
ふっくん
そのため、病院の待合室には健康な人が溢れ、緊急に処置が必要な人が後回しにいつまでも順番が回ってこないという現象が起きています。

子供が病気になると忙しい親が仕事を休んででも病院に連れていくでしょうが、いつまでたっても順番が回って来ず、一日を無駄にし、仕事に支障が出るということも起こりうるでしょう。これは少子化を加速させます。

チーたん
「安いからとりあえず受診」をする人がいるためにそのしわ寄せが別の人に行ってしまい、結果として日本全体ではマイナスになってしまうね


ふっくん
ちなみに、ジェネリック医薬品の他にも、ジェネリック家具やジェネリック家電という言葉を聞いたことがありませんか?

チーたん
知ってる!
ふっくん
コピー品と違うのは、「意匠権や特許権といった知的財産権が既に切れている製品」だという点です。
チーたん
オシャレな家具や家電が格安で買えるからいいよね♪
ふっくん
意匠法は物の外観、つまりデザインを保護する法律です。
意匠権があれば、たとえば、ブランドバッグの斬新なデザインを真似しないようにできます。
コピー品はデザインを真似ただけで造りの甘い物も多いですが、正規品とほとんど見分けがつかないくらい精巧な物もありますよね。

そのような製品なら薬と違って人体に影響があるわけではなく、単純に意匠権を持っている会社の金銭的利益を侵害するだけですので薬ほど問題はありません。

もちろん、意匠権の侵害は犯罪ですから絶対にやるべきではありませんよ。

ジェネリック家具というのは、この意匠権が切れた有名な家具のデザインを真似たものです。
ですから、知的財産権の侵害にはなりません。

細かな造りは本家の方が丁寧だとか質感が全然違うとかいった違いはあるでしょうが需要者がブランドの違いを知って買うのなら問題はありません。

チーたん
安全性に関しては薬ほど気にならないから買いたいな
あいぴー
椅子が壊れたら困るけどな
ふっくん
いずれにせよ、ジェネリック=安いということで飛びつくのではなく、よく考えてから購入したいものですね。

それから、医薬品メーカーは、特許権が切れると収益が激減することになりますが、ジェネリック医薬品の問題点を正当に主張し、ブランディングに取り入れていけば、特許権が切れた後も減益を抑えることが出来るでしょう

あいぴー
ところで、ジェネリック商標ってないん?

ふっくん
ジェネリックという言葉自体が「一般的な」とか「ブランドにとらわれない」という意味を有しています。
商標でいうと、普通名称ということになりますね。

巨峰やうどんすきなどはかつては商標権が存在しましたが、普通名称化してしまいました。

あいぴー
知的財産権にはなんでもジェネリックがあるんやなー
ふっくん
意匠権が切れた物の外観を真似ても意匠権の侵害にはなりませんが、立体商標や著作権や不正競争防止法など他の法律も絡んできますから、後発の会社は他の知的財産権についてもよく調査をしてから製造販売をするように気をつけてくださいね。

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