知財が大切だということはわかっている。
知財の活用の仕方がわからなくて困っているんだ。そんな経営者の声が聞こえてきそうです。

知財戦略は複雑で高度ですが、まずは基本的なことを抑えましょう。

チーたん
知財をビジネスに活かすにはどうしたらいいのかな?

ふっくん
まず社内の知的財産を整理して知財担当者のもとへ集め、活用しやすくしてください。

ふっくん
それから、市場におけるライバル企業の知財取得状況を把握します。

他社がどのような特許や商標を出願しているのか。特許庁の公的な記録を調べるだけで、社内秘にされているはずの製品開発や事業展開が透けて見えます。


 
ふっくん
たとえば、家電メーカーが突然エンジンの特許を多数出願し始めたり、一定の名前の商標を指定商品・自動車で各国に出願しはじめたら、車の事業に参入しようとしているのだと予想することができます。

チーたん
すごい!特許情報って堂々と調べられる機密情報なんだね!活用しない手はないね
ふっくん
知財部がある会社では、他社特許や商標出願を調べることを大切な業務としています。

ただ、Appleのように、わざと第一国出願をジャマイカのように誰も調べないような国にして、かく乱させる出願人もいますが。

チーたん
最初の出願は自分の住んでいる国でなくてもいいんだ。いろいろ考えるねぇ
ふっくん
この点、マイナーな言語を使える人はいいですよね(笑)
ふっくん
商標については他社ブランドと被らないように慎重に決めてください。同時にドメインも取得してください。

商標は、他人と同じものを使ってしまうと自社のブランドを育てることができないだけでなく、知的財産権の侵害になってしまうので、使用前に専門家に調査してもらったほうがいいでしょう。

他社特許などは公開されていますが、明細書を読むことができる専門家がいないとその情報も宝の持ち腐れになるので、専門家に頼んで定期的に他社特許を監視してください。

①自社の使用している技術が他社特許に抵触するか

②抵触している場合、自社に先使用権があるか

③他社特許が自社の特許に抵触しているか

④他社特許に無効理由があるか

などを検討し、問題無さそうなら開発・使用続行、抵触しそうなら実施許諾の検討や代替技術の開発、設計変更、改良技術の開発などの手段をとります。

なお、基本的に出願された特許が公開されるのは出願から1年6ヶ月たってからですので、たとえ専門家に頼んだとしても、必ずしも技術内容の詳細な情報をすぐに手に入れられるわけではないことに注意してください。

念の為、毎月調査をしてもらったほうがいいでしょう。

ふっくん
さて、他社特許や商標の調査の重要性は述べましたが、自社が製品開発や商標出願をする前に、まずビジネスモデルを構築する必要があります。
チーたん
まず特許やブランドありきじゃないの?
ふっくん
それでは遅すぎます。できるだけ早い時期に、どのように利益を得るかのビジネスモデルを作っておかなければなりません。

例えば、どの発明を特許にするのかしないのか、発明を自分だけが独占して儲けるのか、他社にも使わせて使用料を得るのか等、自社の知財活動のプランを立てます。

ふっくん
ビジネスモデルは一度決めたらそれを貫き通すのではなく、適宜変更していってください
チーたん
僕の発明はすごいから大儲けできるよ!
ふっくん
残念ながら、発明が優れているだけでは利益に直結しません。

その良い例がソニーのベータマックスとVHSの戦いです。技術的には明らかにベータマックスの方が優れていましたが、戦略ミスにより、技術に劣るVHSに負けてしまいました。

チーたん
う、そ、そうか・・・
ふっくん
特許を取るということは、技術を全世界に向けて公開してしまうことになるので、もし他社が真似しにくいものならあえて特許出願せずに秘密にしておく方がよいということになります。

一方、模倣が簡単なものは積極的に特許出願して、特許権で守ってください。

チーたん
単なる知財担当者のぼくに知財戦略は荷が重いよ。
ぼくは知財を生み出すのが仕事だから、研究開発に集中して、知財を戦略的に使うのはあいぴーとふっくんに任せてしまいたいよ。
ふっくん
それが理想ですね。知財戦略は経営者と軍師の仕事です。知財担当者の仕事を超えているでしょう。

また、チーたんは知財担当も研究開発も兼ねています。あいぴーに頼んで別の人を知財担当にしてもらってチーたんには競争の源泉となる発明をたくさん生んで欲しいです。

チーたん
ぼくはただ、出願業務が嫌なだけで、ふっくんと一緒に戦略とか考えるのは楽しいんだけどね(笑)

ふっくん
出願業務は外部にアウトソースしてしまうというのも知財戦略のひとつでしょう。確かに内部で全部してしまったほうが安上がりですが、限られた人材をどのように使うかも戦略の一つです。
人材が少ないうちは、出願業務等は外注してしまったほうが結局は安上がりかもしれませんよ。

ふっくん
自社の人材は何が得意なのか。そこを見極めて一番得意なことをさせてあげるのが結局は知財戦略以前の最重要事項かもしれませんね。


ふっくん
・・・ところで、あいぴーの姿が見えませんがどちらへ行かれているのでしょう?

チーたん
家で小説書いてる(笑)
ふっくん
経営者は、一番好きなことをしているわけですね(^^;)