知的財産、特に医薬品に関する特許のニュースで見聞きすることの多い「パテント・クリフ」。これはいったいどのようなものなのでしょうか。

チーたん
ねえ、製薬業界の特許のニュースを見ていたら「パテントクリフ」っていう言葉が出てきたのだけど、どんな意味?

ふっくん
医薬品では、1つの新薬について1つの基本特許の排他的独占性が働くことで売り上げを確保しています。ということは、新薬については、特許の存続期間が到来することで、安価なジェネリック医薬品(後発薬)に追われて売り上げが減少してしまいます。
それにより製品の売り上げが崖(クリフ)から一気に転げ落ちてしまうように失われてしまうことを「パテント・クリフ(特許の崖)」と言います。

チーたん

グラフで想像すると恐ろしいね!

ふっくん
日本の大企業では、新薬の研究開発に3000億~4000億円の費用を投じています。
数万もの化合物の中から1つの候補を見つけ出すのですから、多大なコストがかかり、リスクも伴います。このように、製薬会社にとっては排他的独占権である特許はたった一つでも重要なものです。
チーたん
パテントクリフを回避する方法はないの?
ふっくん
特許権の延長登録をしたり優先権を主張して少しでも特許権の存続期間を延ばすというくらいですかね。あとは、オーソライズドジェネリックを利用するとか・・・
チーたん
特許法以外でパテントクリフを克服する方法はないの?
ふっくん
人員削減によるコストダウンはどうでしょうか
チーたん
そんなの製薬会社に限った方法じゃないよね
ふっくん
新薬を持つバイオベンチャーの買収や新製品の投入で減った売り上げをカバーするということも考えられます。
チーたん
なるほど。自社で新薬を開発しなくても、M&Aで他社の特許を入手できればいいよね。

ところで、どうして医薬品の分野でだけパテントクリフの問題があるの?

ふっくん
一つの製品に対し一つの特許権という関係があるのは医薬品くらいだからですよ。
エレクトロニクスの分野においては一つの製品に使われる特許の数は莫大なものです。たとえば、携帯電話一つとっても、関連する特許は1万を超えるでしょう。
チーたん
え?ということはAppleはiPhoneのためにそんなにたくさんの特許をとっているの?
ふっくん
それほど多くの特許を一社だけで独占しているわけではありません。多くの企業がそれぞれ持っています。
チーたん
じゃあ、一社が携帯を作ろうと思っても他社の特許が邪魔になって作れないよね?
ふっくん
そうなんです。
そこで、企業が持つ特定の特許をお互いが使えるように実施・使用許諾の契約をするという方法(クロス・ライセンス)や特定の特許に限定せずに技術の領域や製品を特定して、まとめてお互いに実施・使用の許諾の契約をするという方法(包括クロスライセンス)を結ぶことが多いのです。
チーたん
クロスライセンスはうまくいっているの?
ふっくん
なかなか難しいでしょうね。
ちなみにパテントプールという仕組みもあります。
チーたん
どこの業界も特許に関しては固有の問題があるんだね。
ふっくん
チーたんの会社ではどうですか?
チーたん
うちの会社の知財に関する問題は、経営者であるあいぴーが怠け者で、知財の勉強をしてくれないということかな(笑)