民法上の損害賠償請求(民法709条)では原告が被告の故意過失を立証する責任を負いますが、特許権や商標権の存在は公報などにより明示されることから、過失の立証責任が逆転します。
これを過失の推定(特許法103条、商標法39条)といいます。ということは、「知らずに」実施や使用してしまっても、侵害者になってしまうのです!

チーたん
取引先が特許権侵害をしているみたい。
うちもマズイんじゃないかな?たしか特許権や商標権って知らずに実施していても侵害になっちゃうはずだよ

あいぴー
知らずにしてしまったのに逮捕されてまうの?
そんなん嫌や!

チーたん
特許権を侵害した場合は過失の推定が働くから、逮捕されちゃうはずだよ。どうしよう・・・(T _T)

過失の推定

第百三条  他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。

ふっくん
逮捕はされませんよ。
知らずに特許権を侵害した場合には”故意”はありませんから、刑事罰は課されません。過失だけで刑罰を受けなければいけないなんて酷過ぎるでしょう?

チーたん
あー、よかった。

ふっくん
でも民事上の罰は受けなくてはいけませんから、くれぐれも知的財産権を侵害しないように注意してくださいね。

たとえば、個人でも簡単にオークションで偽ブランド品を販売することはできてしまいますよね。
その場合、偽物だと知らずに売ってしまったとしても、過失はあるのですから、民事上の責任は取らなければいけません。

ちなみにわざと(故意に)販売した場合には刑事罰がありますよ。


チーたん
気をつけなきゃ(><)

ふっくん
ちなみに、実用新案権の侵害の場合には過失の推定はありませんよ。権利の性質上、実用新案権に過失の推定を認めてしまうのは酷に過ぎますからね