平成27年度から商標登録出願の受付が始まった音の商標。
CMで商標を使うような大きな会社の出願ばかりですが、要件さえ守ればどんな会社の商標でも音の商標として商標登録を受けることが出来ます。

チーたん
音の商標で商標登録を受けたいのだけど、特別な登録要件ってあるの?
ふっくん
基本的に普通の商標登録出願と同じですよ。
商標登録出願をすると、まず手続き的要件が満たされているかチェックされ、次に商標法3条の審査に入ります。
チーたん
商標法3条って、慣用商標とか普通名称を普通に用いられる方法で使用する商標については商標登録を受けられないという規定だよね?

商標登録の要件

第三条  自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二  その商品又は役務について慣用されている商標
三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五  極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

ふっくん
そうです。
「ドレミ」だけだと商標法3条1項5号に規定される「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」に該当しますし、指定商品「焼き芋」について「いしや〜きいも〜」という石焼き芋の売り声は、商標法3条1項2号の「その商品又は役務について慣用されている商標」に該当します。
チーたん
指定役務「屋台における中華そばの提供」に音の商標「ピピピーピピ、ピピピーピピピー(チャルメラの音)」も?
ふっくん
そうですそうです。
それから、商品が通常発する音については商標法3条1項3号の規定に該当して拒絶されます。
たとえば、商品から自然発生する音として、商品「炭酸飲料」について、「『シュワシュワ』という泡のはじける音」があげられます。
チーたん
指定商品「自動車」で「エンジンの音」も?
ふっくん
そのとおりです。それから、商品の機能を確保するために通常使用される又は不可欠な音も該当します。
たとえば、指定商品「目覚まし時計」について、「『ピピピ』というアラーム音」です。
ふっくん
役務の提供にあたり通常発する音も商標登録を受けられませんよ。

たとえば、役務の性質上、自然発生する音として、指定役務「焼き肉の提供」について、「『ジュー』という肉が焼ける音」が該当します。

役務の提供にあたり通常使用される又は不可欠な音も商標登録を受けられません。
例として、指定役務「ボクシングの興行の開催」について、「『カーン』というゴングを鳴らす音」があげられます。

あいぴー
なあなあ、うちが音の商標創ってみたんやけど、うちの名前も音の商標の中に入れて登録受けられんの?
ふっくん
曲のタイトルや作曲者名は「音の商標」ではないので商標登録できません。
サウンドスペクトログラム(ソノグラム)やタブラチュア譜(タブ譜、奏法譜)で表現されている場合も駄目です。

音符・音符記号(ト音記号やヘ音記号など)・テンポ・拍子記号(3分の1拍子など)言語的要素(歌詞が含まれる場合)、これらの要素が五線譜により記載されている場合に登録を受けることが出来ます。

または、音の種類(ガォーというライオンの鳴き声など)とその音を特定するために必要な要素(音の長さ・回数・順番など)が文字により記載されている場合も可能です。

ふっくん
口で説明してもわかりにくいと思うので、実際に登録された音の商標を見てみましょう。

カラリオ 音の商標

五線譜により記載されている例として、エプソン株式会社の「カラリオ」です。

これは文字により音の商標が記載されている例として、伊藤園の「お〜い、お茶」です。

お〜い、お茶

あいぴー
これだけわかればもう音の商標を出願出来るわ!
早速、うちが創った音の商標「パナソニ〜ック♪」を商標登録出願するわ!
ふっくん
だからー、音の商標も普通の商標と同じように審査されるんですよ。
商標法3条に引っかからなくても、4条で拒絶されますからね。

パナソニックみたいな造語の著名商標は、指定商品が何であれ4条の規定で拒絶される可能性が高いですよ。

それから、3条2項の規定の適用を受けても4条1項18号に引っかかることもあります。
商品等の機能を確保できる代替的音が他に存在するか(たとえば、商品等の構造又は機構上不可避に生じる音であるか否か。人工的に付加された音であるか否か。)や代替可能な音が存在する場合でも、同程度(若しくはそれ以下)の費用で生産できるものであるか否か。などを考慮します。

チーたん
「頭痛にバファリン♪」のリズムで「〇〇に▽▽♪」で商標登録を受けられる?
ふっくん
それくらいの短さならリズムを真似ても大丈夫でしょうが、長い曲になると著作権も関わってきますから、気をつけてくださいね。
あと、曲だけの商標よりも、声 + 音の商標の方が商標登録を受けやすいようですよ。