書類選考に通過し、面接も済ませた後に、内定と共に転職先企業から「将来の幹部候補として迎えたい」との言葉をもらえることがあります。

すると、他に転職先希望企業があったとしても「幹部か。悪くないな・・・へへ・・・」
と良い気分になってしまうことがあります。

 

しかし、これは転職先企業の甘い罠である可能性があるので注意してください。

 

罠というと語弊があるかもしれないので、「リップサービス」と言い直しましょう。

要するに、「あなたの気分を良くするためだけのおべっか」というわけです。

 

なぜこれから雇おうとする人にわざわざおべっかなんか使うのかと不思議に思われるかもしれませんが、これには理由があります。

 

一つには、あなたを良い気持ちにさせて安い給与で入社して欲しい場合。

人は「自分が求められている」と思うと給与よりもやりがいを求めて安い給与でも同意してしまいがちです。

 

実際、優れた人材採用担当者はほんのちょっとしたリップサービスで、年間何千万円もの経費を浮かしていると聞きます。

 

確かに「幹部候補」には人を惑わせる響きがあります。

 

キャバクラですべてのお客さんを「社長」と呼んで良い気分にさせるキャバ嬢のテクニックに似ていますね(笑)

 

しかし、「幹部候補として迎えたい」はイコール「幹部になることが確約」されたわけではありません。

 

「部長になれば年収◯◯万円だよ」という言葉は、
書類になっていない以上、なんの法的拘束力もありません。

 

したがって、リップサービスはリップサービスとしてありがたく受け取って、必要以上に自分を安売りしないように気をつけましょう。

 

なお、あなたが他社への転職も検討している場合にもこのようなリップサービスを使ってくる場合があります。

特にあなたが難関国家資格を持っていたり、高度なスキルを持っている場合に顕著です。

 

このような場合でも同じように「本当に自分が行きたい会社はどこか」「年収はこれでいいのか」等しっかりと比較検討して転職先を決めてください。

 

注意しなければいけないのは、入社した後です。

 

採用担当の人から言われたリップサービスをそのまま信じて入社した場合、同僚の人に対しても「自分は将来の幹部候補だ」と思っているために横柄な態度をとってしまう可能性があります。

すると、何ヶ月たっても昇格しなかったときに自分としても虚しいですし、同僚も良い気分にはなりません。

 

したがって、単なる口先だけの約束事を信じてしまわないように自分を客観的に評価してください。

また、驕った振る舞いはトラブルの元ですので、ビジネスパーソンならば自分を律することを心がけましょう。

 

なお、蛇足ですが、上司に嫌な人がいたら、他人のふりを見て我が身を直せるように、悪い上司は反面教師にするようにしてください。

立場が上になるほど面と向かってネガティブなコメントをくれる人は減ってきます。
すると、自分で努力しない限り、人は思い上がってしまうものです。

 

本当に優れた人間性というものは日頃の自分への厳しさと他者への優しさから生まれるものなのでしょう。