研究開発を生業としている人の中には、知財部への異動や特許事務所への転職を希望する人もいることと思います。

(研究と開発は厳密には違いますが、ここでは一緒に説明します。リンク先では、研究と開発の違いを説明しています)

その理由は、同僚にはスター発明者がいるのに、自分は冴えない。研究者として限界を感じてしまったというものから知財の面白さに惹かれた、弁理士の年収の高さに憧れたというものまで様々あることでしょう。

 

もし自社の知財部への異動が可能なら上司にお願いしてみても良いでしょう。発明者ではなく、知財部という立場から発明に目を向けると、自分がしてきたことへの愛情が湧き上がってくることもあるかと思います。そのときには1年〜2年くらいでまた元の畑に戻ってきても良いでしょう。

 

会社が異動させてくれないのなら、数年後の転職を見越して研究開発部にいながら弁理士試験の勉強を始めてもいいかもしれません。弁理士試験の勉強内容と実務にはかなり違いがあって、弁理士試験に受かっても知財部で即戦力にはなれないのが普通ですが、研究畑出身の弁理士は知財部未経験でも戦力として期待できることが多いといえます。この点は転職時のアピールポイントになるでしょう。

 

自社の知財部への異動が許され、知財のほうが面白いということに気付いたら、知財部員としてやっていくのも悪くはないでしょう。今まで発明者として積んできた経験は決して無駄にはなりません。むしろ、発明者の意図がよくわかる優秀な知財部員になれることと思います。

 

会社が異動を認めてくれなかったり、実際に明細書を書いてみたいという場合には特許事務所への転職を考えても良いでしょう。

 

なお、企業知財部へ戻ってくるときには、40代になっていると通常の知財部員扱いではなくなってしまうので転職は難しくなってしまうでしょう。

 

したがって、特許事務所を経験した後にまた企業知財部へ転職したいのなら、なるべく若いうちに研究者を辞めて知財部へ行っておく必要があります。
一般に、研究者としてのピークは30代後半から40代前半だと言われているので、そのピークを迎えるずっと前に研究者を辞める決断をするのはなかなか難しいところですが。

 

なお、普通は転職は回数が少ないほうが良いのですが、研究開発部や企業知財部で経験を積んできた人の転職は、異業種への無闇矢鱈な転職とは違い好意的に受け入れてもらえることも多いので、「転職をしよう」と決めたら、まず一歩を踏み出してみるのも新しい世界が開けてよいのではないかなと思います。

 

そして、自分は弁理士としてやっていくんだと決意したのなら、もう振り返ることはせずに弁理士としての道を歩き続ければ良いでしょう。

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