就職活動をする前には自己分析をしたかと思いますが、転職の前にも改めて自己分析をすることにより、より自分に合った仕事に就くことが出来るようになります。

それにより、転職の失敗を防ぎ、やりがいを感じることのできる会社や特許事務所へ就職できるようになります。

あなたは無限の可能性を持っています。その芽を潰さないように自由な発想で自己分析を行ってください。同時に、現実的な仕事の目標も設定しましょう。

 

自己分析では、以下のことを明確にします。
実際に紙に書き出してみてください。

 

・自分の性格

・何をするのが好き?何をするのが嫌い?(&なぜ?)

・何が得意?何が苦手?

・仕事やプライベートで今まで取り組んできたこと及び学んだこと

・今までにお礼を言ってもらったことは何か

 

 

自己分析ができたら、次にキャリアの棚卸しをします。

 

第二新卒の人などはまだキャリアが浅いため、棚卸しするようなキャリアなんてないと考えるかもしれません。その場合は、仕事に限らず「自分の過去の経験」全てをキャリアと捉えましょう。たとえば、趣味や特技、友人関係などです。

 

仕事以外のキャリア(のようなもの)は「自分が本当にやりたいこと」に気づくきっかけとなります。

 

苦手な人が多いのに自分は苦もなくできること(たとえば、「電車でお年寄りを見かけたら躊躇すること無くすぐに席を譲ることができる」)や何年間もずっと続けてきたこと(草野球など)があったら、それに関する仕事を見つければ天職に繋がる可能性があります。

とはいっても、単純にその事実だけから天職へ導き出せるわけではないので注意してください。

たとえば、先程の例で言うと、お年寄りに優しく出来たから介護職が向いていると考えるのは深くまで追求出来ていません。草野球が好きだから少年野球のコーチを専業に出来るわけでもないでしょう。

この場合どうすればいいのかというと、ある特定の事実(この場合は「電車でお年寄りを見かけたら躊躇すること無くすぐに席を譲ることができる」)を抽象的概念に一旦止揚し、その抽象的概念をさらに別の具体的概念に変えます。

 

こう説明してもわかりにくいと思うので、具体的に述べてみますと、「電車でお年寄りを見かけたら躊躇すること無くすぐに席を譲ることができる」ということは、「人の痛みや辛さがわかり、わかっているだけでなくすぐに行動に移せる。考えることなく自然に行動することができる。」ということです。

 

普通は、お年寄りがいても「自分も疲れているのだから」と心のなかで言い訳をして見てみぬふりをしたり、眠ったふりをしてしまう人が多いのに、心のなかで言い訳をする間もなく行動をすることができるのは優しさや自分を律する気持ち、そして気配り力の現れです。

 

ということは、「人の望むことを先回りして察してあげる力」が高いと言えるでしょう。

 

このような能力が高いと、様々な仕事に役立ちます。

 

営業でも役立ちますし、ホテルや飲食店のようなサービス業でも活躍できるでしょう。そして、管理職になっても役立ちます。

人と関わることが多い仕事ほどこの性格が役立ちます。

 

 

性格というものはなかなか変えられません。

 

「なろう!」と決心してもいきなり気配りのできる人に変身できるわけではありません。

 

特に、「自分の能力を上げる」ことよりも、「他者に関わる能力を上げる」のは難しいので余計です。

 

頭で理解しただけでは行動に移せません。

頭で理解しただけの人は、「よし、今日からはお年寄りを見たら電車で席を譲ろう」と思います。

 

しかし、本当の意味で理解できた人は、お年寄りにかかわらず、妊婦さんや具合の悪そうな人のために気を配ることをします。

そして、自分のことは後回しにしてでも他者の力になろうとします。

また、人が見ていないところで自分が損をする行動をするようになります。

 

これが普段の生活のなかで無意識に出来るようになります。

 

忙しい毎日の中で赤の他人のために気を配るなんて、なかなか大変ですよね。

 

ただし、難しい分、この能力が上がるといろいろと得をすることができます。

 

先程例にあげたように、自然に他人を尊重できるため、営業をするとお客様から信頼を得やすいでしょう。

また、発明者からヒアリングをするときにも、発明者の気持ちを傷つけること無く和やかに話が進むので知財部員としてもうまくやっていけそうです。

 

逆に、困っている人を見かけた時に心のなかで「自分は忙しい」と思って無視してしまうタイプの人は、協調性が求められる仕事はしない方が良いでしょう。

 

こういうタイプの人は孤立しやすいのですが、競争社会において抜きん出て能力が高い人が多いといえます。スポーツで言うと団体戦は苦手ですが、個人種目は得意です。

勉強も自分一人でやるだけなので得意で学歴も高いのです。

 

ただしコミュニケーション能力や人を感動で惹きつける力はないので、先程上げたような仕事にはむいていないでしょう。

向いていない仕事をすると苦痛を感じることになります。また、多くの人にヒアリングをしなければいけない知財部員の仕事も辛くなるでしょう。
反対に、ひたすら明細書を書き続けるだけの弁理士は向いています。

 

人と触れ合い、人を喜ばせるのが好きなタイプの人が弁理士になってしまうとかなりの苦痛を感じるでしょうが、自分の能力を高めることの方が大事な人には弁理士は向いています。

そして、このタイプの人は頭が良いので優秀な弁理士になれます。ひたすら自分の能力を高めれば年収3000万円も夢ではないでしょう。

 

一方、協調性のある人は、人から好かれはしますが、年収3000万円クラスの弁理士になれるほど自分を高める前に仕事へのやりがいを感じられずに精神的に疲れてしまうことが多いでしょう。

 

ですから、自分の性格によっては、一匹狼でひたすら自分を高めるタイプの弁理士よりも、会社員として生きることを選択したほうが良いでしょう。(しかし、コミュニケーション能力の高い弁理士は顧客対応がうまいので重宝されます)

さて、過去のキャリアの棚卸しをしたことにより、将来のビジョンのようなものが見えてきたかもしれません。深く具体的に棚卸しするほど、将来の目標は明確に見えてきます。

 

更に深く自己分析したい人は、今までに働いた会社(特許事務所)や入社時期、部署、業務内容、成果、学んだこと、入社後覚えた技能や技術、仕事の参考書として読んだ本、得意・詳しい分野、ものづくり経験、海外出張経験、表彰経験などを全て書き出してみましょう。

 

書き出すことができたら、「嬉しかったこと」「悔しかったこと」「やりがいを感じたこと」「褒められたこと」「がっかりしたこと」なども書き足していきます。

 

上記のことを明確にすることにより、履歴書や面接で、自己PRや志望動機を生き生きとしたものにできます。

 

また、現職(前職)についても、なぜその職場・職種を選んだのか等をしっかりと述べられるようにしましょう。

 

 

今の段階では、まだ「本音」で答えてしまってかまいません。

 

「行きたかったところは落ちて別の会社から内定を貰ったから親を安心させるためとお金を得るためにとりあえず就職した」が本音なのに「会社の理念が素晴らしかったから」と自分を騙してしまってはいけません。

 

自分には正直になりましょう。

 

ただし、自己PRや志望動機を履歴書に書くときには表現を変えます。正直過ぎると落とされますから。

 

 

では、どのように変えれば良いかというと、「能力を評価してくれる御社で活躍したい」「社外活動にも積極的に参加して更に自分の活動の幅を広げたい」というように表現を変えます。

これは「一生懸命働くからその分昇給してね」「社外活動にはお金がかかるから稼ぐ必要があるんです」ということを含んでいるのですが、本音そのままで話すよりはマシですよね。

 

過去を振り返って自分の価値観(何に価値を置いてきたか)や考え方を明確にしましょう。

 

ポイントは、得意なことと好きなことは一致しないことが多いということです。

 

一致していれば最高なのですが、一致しない場合は、どちらを重視するか考えてみてください。

 

過去を振り返って、得意なことをして人からお礼を言われたことを思い出してください。同時に、自分が時間を忘れて没頭したことを思い出してください。

 

前者(おばあちゃんにパソコンについて質問されて、一瞬で解決してあげた)はお金に繋がるのに、後者(たとえば、ゲームなら何時間でもやれる)はなかなかお金に繋がりにくいことが多いでしょう。

 

後者を仕事にするのは理想的ですが難しいので転職の際には前者「得意なことで人から感謝されること」を活かせる仕事を候補にしましょう。

 

さて、自己分析をして自分の本当にやりたいことや強みが見えてきたでしょうか。

 

たとえば、「初めて就職したときは、世間体を気にしていたけれど、本当はベンチャー企業のような意思決定が早くて社長の近くにいられる場所で働きたい」とか「知財部の人数が少ない小さな会社で頼られる存在になりたい」というような願望が見えてきたはずです。

 

このように自分の本当の望みが見えてくると、給与や待遇などに惑わされず、納得を持って働ける場所を選ぶことが出来るようになります。

 

転職に失敗する人は、表面的な年収の高さや休日の多さなどに惑わされて本心ではしたくない仕事を選んでしまいます。そして、1年も経たないうちにまた転職をすることになるのです。

 

子供の頃から野球でキャッチャーというポジションにいながら皆の信頼を集め、リーダーシップを発揮し、チームを勝利に導いてきた成功体験を持っている人は、企業で管理職を務めると本領を発揮できるかもしれません。又は、ベンチャー企業で参謀として力を発揮するかもしれません。

一方、ピッチャーで注目を集めることに快感を覚えてきた人は、参謀のように人を支える仕事よりも、自らが経営者となって起業する方が良いかもしれません。特許事務所を開業しても良いかもしれません。

 

もちろん〇〇をしてきたからとか△△が好きだったから何に向いている何をすべきとは簡単にはいえません。人間の経験や好きなこと、向いていることは複雑で人によって違います。

ですから、その人その人によって特技や趣味を活かせることは違ってきます。

 

もし、自分のキャリアの棚卸しが上手く行かなかったりありふれた考えしか生まれないと思ったらどうぞ遠慮なく私にご相談ください。

知財分野ばかりになりますが、何年間も多くの人の相談を受けてきたので多少は役に立つアドバイスをすることができると思います。

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