知的財産権は、財産権ですので当然に譲渡することができます。特許権だけでなく特許を受ける権利も譲渡できますし(特許法33条1項)、実用新案権も商標権も意匠権も著作権も譲渡することができます。
しかし、権利によって譲渡の要件等が変わってきますので注意しましょう。

あいぴー
うちの会社、今、資金繰りに困っているから何か売りたいと思っているんやけど、商標権とか特許権を売ることって出来るん?

ふっくん
もちろんですよ。
どちらも知的財産権ですからね。
ただし、移転はそこまで自由にできるわけではないので気を付けてください。

商標権の場合は指定商品・役務ごとに分割して移転することができますし(商標法24条の2)。著作権の場合は、複製権だけ、公衆送信権だけというように権利の一部だけを譲渡することができますが(著作権法61条1項)、特許権の場合は請求項のうちの一つだけ、特定の実施態様だけというように権利の一部だけを譲渡するということはできません。


チーたん
将来を見越して期間内(特許法44条1項)に予め分割しておかないといけないのか。

ふっくん
たとえ分割していても、特定の実施態様だけを譲渡するということはできませんから、そうしたい場合には実施権を設定・許諾することになります(特許法77条、78条)。

チーたん
逆に著作権だと専用実施権が認められていないから権利を譲渡するしかないんだね

ふっくん
特許権の譲渡は、相続等一般承継の場合を除き、登録が効力発生要件です(特許法98条1項1号)。つまり、契約を結んだだけで登録をしていない場合には譲渡の効力が生じないのです。

チーたん
誰かが不正を行って勝手に登録をしてしまったらどうなるの?その登録を信じて不正登録した人にお金を払ってしまった人は救われるの?

ふっくん
無理ですね。登録には公信力(権利関係の存在を推測させるだけの外形的事実はあるものの、それに相応しい権利関係が存在しない場合にその外形的事実を信頼して取引したも者に対して権利取得を認める効力)がありませんから。

チーたん
特許権みたいな知的財産権には対世効があるから、公信力を認めてしまうと権利関係が錯綜して困ったことになってしまうもんね

あいぴー
なぁなぁ、出願人名義変更届を出せば、特許出願や商標登録出願の後、設定登録前に出願人を変更することもできるんやろ?

ふっくん
お、あいぴーにしては珍しく正しいことを言っていますね

あいぴー
珍しいは余計や
テキトーな商標を出願しておいて、誰かほしいという人がいたら売ったろと思ったから勉強したんや

チーたん
それって商標ブローカーじゃない・・・
ふっくん
そう上手くはいきませんよ。
変なことをすると人の恨みを買いますし恥ずかしいですから本業のビジネスに力を入れるべきでしょう

チーたん
ぼくは設定登録後の知的財産権の移転の仕方について勉強しよーっと

ふっくん
そういうことは外部の弁理士に任せても構いませんが、知財部員が覚えてくれれば会社としては助かりますね

あいぴー
チーたん、うちのため頑張ってや!

チーたん
あいぴーも少しは真面目に勉強しなよ!! ヾ(`Д´*)ノ