日本の商標法は「登録主義」を採用しています。

しかし、未登録でも有名な商標には信用という財産が蓄積しているため、未登録商標は保護しないこととすると商標法の目的(商標法1条)に合致しません。

そこで、商標法は「使用主義」的観点から、未登録周知商標を保護することにしています(商標法4条1項10号)

ただし、周知性の要件はかなり厳しいので注意が必要です。重要な商標は、早めに商標登録を受けるべきです。

商標登録を受けることができない商標

第四条
十  他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

チーたん
大変だ!公開商標公報を見てたらうちの商標と似ている商標が商標登録出願されちゃってるのを発見したよ!
ふっくん
どれどれ・・・
う〜ん、これはマズイですね。
あいぴーの会社の主力製品の商標と類似ですね
チーたん
この商標が登録されちゃったらうちは今まで真面目に商標を使ってきたのに、もう今までみたいに商標を使えなくなっちゃうの?
ふっくん
一定の場合には先使用権(商標法32条)が認められますが、今なら商標登録(商標法18条)を阻止出来る可能性があります
チーたん
どうやって?
ふっくん
特許庁へ情報提供をするのです。
長い間当該商標を使用し、業界内では有名になっていることなどを証拠を添えて主張してください
チーたん
うちの商標は長い間使ってはいるけれど、有名になったのはここ最近だよ。
メディアで取り上げられて一気に有名になったんだ
ふっくん
では、ちょっと気にかかることがありますね。
というのも、商標法4条1項10号の規定は両時判断(商標法4条3項)、つまり他者の商標登録出願時、及び他者の商標登録査定時の両方においてあいぴーの商標が有名になっていなくてはいけないのです。

他人の商標登録出願時においてまだ有名でなかったのなら、他者の商標登録出願は登録されてしまう可能性があります。

チーたん
そんな!!
ふっくん
厳しいようですが、日本の商標法が登録主義を取っている以上仕方ありません。

そもそも、そんな大事な商標をきちんと商標登録出願しておかなかったほうが悪いんですから

あいぴー
今気づいたけど、外国でもうちの主力製品の商標出願されれとるわ
ふっくん
外国だと「周知性」が認定されるのはかなり難しいですよ。
よっぽど有名でないと無理です。
チーたん
・・・ということは・・・
ふっくん
ビジネスが相当制限されることになってしまいますね。

知的財産権の威力は絶大ですから。

これに懲りて、重要な商標は早めに商標登録を受けるように心がけてください。
日本だけでなく、外国でもですよ

あいぴー
・・・珍しく真面目に使ってきた商標やったのに・・・(T T)