著作権を学んでいるときに一緒に学ぶことになるのが肖像権とパブリシティ権です。これらの権利は著作権法に規定されている権利ではありません。
しかし、著作権法を学んでいるときに避けては通れない重要な概念ですので、しっかり学びましょう。
余力がある人は基礎的な民法も学んでおくと学習の助けになるでしょう。
あいぴー
この前、「読者モデルとして写真を一枚撮らせてください」と言われたから写真を撮らせてあげたんやけど、うちの写真が勝手に出会い系サイトに使われとったんや!
チーたん
えー!?それは酷いね
あいぴー
そうやろ。著作権の侵害だから訴えてやるつもりや。
ふっくん
それは著作権の侵害ではありませんよ
あいぴー
なんでやの!?勝手にうちの写真を使っとるやん!
ふっくん
それはそうですけど、著作権は、「写真を撮った人」に発生する権利ですから。
あいぴー
じゃあ、どうすればええの?
ふっくん
肖像権の侵害になりますから、民法上の不法行為(人格権の侵害)として損害賠償請求をすることができますよ(民法709条)
チーたん
他人の写真を勝手に使うと常に肖像権の侵害になるの?
ふっくん
そういうわけではありませんよ。
例えば、観光地で写真を撮って、その写真をツイッターでアップしようとしたときに写真に他人が写りこんでしまったとします。でも、後ろ姿だったりぼやけていて個人が特定できない状態なら、ツイッターで公開してしまっても肖像権の侵害とはなりません。
例えば、観光地で写真を撮って、その写真をツイッターでアップしようとしたときに写真に他人が写りこんでしまったとします。でも、後ろ姿だったりぼやけていて個人が特定できない状態なら、ツイッターで公開してしまっても肖像権の侵害とはなりません。
撮影の目的や場所などを総合的に勘案し、「人が我慢すべき限界(受忍限度)」を超えているかどうかを考慮し、それを超えていないのなら肖像権の侵害にはなりませんし、超えているのなら損害賠償請求が認められます。
チーたん
街中で芸能人を見かけたときに、勝手に写メを撮ってツイッターで公開しちゃったことがあるんだけどそれって犯罪になっちゃうの?
ふっくん
いいえ。芸能人やアスリート、政治家、歌手などのような有名人の場合は上記した受忍限度が高く、チーたんがした程度の行為なら肖像権侵害にはなりません。
有名人は、名前が売れてなんぼの世界の人たちですからね。
有名人は、名前が売れてなんぼの世界の人たちですからね。
もちろん、アイドルが泥酔している現場の写真を公開してしまうとプライバシー権の侵害になってしまうのでご注意ください。
あいぴー
じゃあ、芸能人の写真を会社のサイトにたくさん載せて集客したろ♪
ふっくん
それは、芸能人の持つ「パブリシティ権」の侵害になります
あいぴー
パブリシティ権?
ふっくん
有名人の名前や写真には顧客吸引力が認められます。したがって、金銭的利益を得るためにそれらの写真を利用すると、パブリシティ権の侵害となってしまうのです。
チーたん
そっか。ぼくがツイッターで偶然見かけた芸能人を撮った写真を公開することは金銭目的とは取られないし肖像権の侵害にもならないけど、サイトやお店の看板に芸能人の写真を無断で使用することはパブリシティ権の侵害となってしまうんだね。
ふっくん
その通りです。
そして、一般人の写真を勝手に使用してしまうと肖像権の侵害となる可能性が高くなりますが、一般人の写真に顧客吸引力は認められませんので、パブリシティ権の侵害とはなりません。
そして、一般人の写真を勝手に使用してしまうと肖像権の侵害となる可能性が高くなりますが、一般人の写真に顧客吸引力は認められませんので、パブリシティ権の侵害とはなりません。
あいぴーの写真には顧客吸引力がないので、勝手に使われた場合には肖像権の侵害は主張できますが、パブリシティ権の侵害の主張は認められません。
あいぴー
こんな美少女の写真に顧客吸引力がないわけないやろ!
チーたん
はいはい(笑)