歌手のものまねは著作権侵害になるの？

今日はテレビのモノマネ番組で青木隆治と山寺宏一とトレンディエンジェルのそっくりさんが出るから見逃したらあかんっ

そりゃそうや。めっちゃおもろいやん

著作権の侵害になる場合もありますし、著作者人格権の侵害になる場合もありますし、著作隣接権の侵害となる場合もあります。

早速眠とうなってきたわ・・・

そんな人のために面白い話を聞かせてあげましょう。
芸能人のモノマネをして訴えられた人もいるんですよ

全然おもろうないわ！

著作権は、通常はお金を稼ぐようなことをしなければそんなに問題になることはないのですが、モノマネの場合は人格権にもかかわってくるので、「営利目的でなければ大丈夫」とは言い切れないのが難しいところです

歌手のモノマネをした場合を例にしましょうか。

まず、著作権（著作財産権）についてですが、営利目的で、つまりモノマネを生業にしている人が演じたり素人が自分がしたモノマネをユーチューブにアップした場合などは、歌手が歌っている歌の作詞家及び作曲家の著作権を侵害することになります。ダンスをまねた場合は振付師の著作権を侵害することになります。
編曲したり替え歌にした場合は著作財産権のうちの翻案権の侵害になります。

もう既に頭が痛いわ・・・

また、替え歌を歌った場合には、著作権者の同一性保持権（著作権法20条）の侵害になる可能性もあります。
これは著作者人格権ですからたとえ著作権が切れていても注意が必要です。

歌手は実演家ですので、歌手のモノマネをした場合には、歌手の持つ著作隣接権（人格権）の侵害となります。
たとえそっくりにモノマネしても、録音権（著作権法91条）の侵害にはなりません。
「その歌手の実演」をそのまま利用していませんからね。

歌手の著作隣接権を侵害する場合とは、たとえば、物まねをされる歌手の氏名を表示しなかった場合には歌手の持つ氏名表示権の侵害となりますし（著作権法90条の2）、その歌手の名誉を傷つけるような仕方で真似をした場合、同一性保持権（著作権法90条の３）の侵害となります。

作詞家や作曲家が持つ同一性保持権（著作権法20条）は著作権者の人格権であり、歌手の持つ同一性保持権（著作権法90条の３）はあくまでも実演家の権利です。

両者の条文を比べてみるとちょっとだけ違うんですよ。

まず、著作権者は「その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」
とされているのに対して、
実演家は「その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする」とされているだけです。

つまり、著作者は「自己の名誉または声望を害する場合」のみならず、「意に反して」変更等されることに対して権利を有しているのに対し、実演家は「自己の名誉または声望を害する」場合のみに権利を有します。

美川憲一はコロッケに真似されたおかげで評判があがったし、真似されるってことは人気のある証拠やからな

なお、自称「芸能人のそっくりさん」が勝手に「芸能人の〇〇公認」などとでたらめをいってモノマネ活動をしたりすると、芸能人の持つパブリシティ権の侵害になるので注意が必要です

だから著作権なんて勉強しなくてエエわ・・・

そこがきみの悪いところだ！
何かやってみて、うまくいかないとすぐいやになってしまう。
そんなことでは、いつまで経っても何もできないよ！

大山のぶ代のモノマネでドラえもんのセリフを言ってみたのですが・・・

大山のぶ代って誰やの？
ドラえもんの声優って水田わさびやろ？

初代ドラえもんを知らない若い人たちには通じませんでしたか・・・(T_T)