意匠法3条の2は、平成10年改正により新設された規定です。
しかし、その後平成19年に再び改正されています。
既定の趣旨をしっかり理解しましょう。
意匠登録出願をするのですか?
9条に引っかかって拒絶されちゃうかな?
第三条の二 意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であつて当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(以下この条において「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。ただし、当該意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であつて、第二十条第三項の規定により先の意匠登録出願が掲載された意匠公報(同条第四項の規定により同条第三項第四号に掲げる事項が掲載されたものを除く。)の発行の日前に当該意匠登録出願があつたときは、この限りでない
特許法の場合は、出願人や発明者が同一の場合は特許法29条の2の既定の適用がありませんよね?
意匠法3条の2も出願人が同一の場合は3条の2の規定の適用がないのです。
すなわち、先願の出願人と同一の出願人による意匠登録出願が、先願の意匠登録に係る意匠公報(秘密にすることを請求した意匠に係る意匠公報であって、願書の記載及び願書に添付した図面等の内容が掲載されたものを除く。)の発行の日前までに出願された場合には、この規定による拒絶の理由にはあたらないとされています。
昔は出願人が同一でも3条の2の規定の適用はあったのですがね。
意匠登録出願の出願人と先の意匠登録出願の出願人とが同一の者であるか否かの判断は、当該適用の判断時、すなわち、査定の謄本又は拒絶の理由の通知書の送達時における、それぞれの願書の意匠登録出願人の記載に基づいて行われますから。
なお、共同出願に係る場合における「同一の者」は、全ての出願人が一致することをいうので注意してください。
「願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部」ってあるけど、参考図みたいなものは該当しないの?
先願に係る意匠として開示された意匠以外のものの記載の内容は、審査、審判又は再審に係属している間に変動する可能性があり、このような不安定なものに基づいて後願を排除することは後願の意匠登録出願人に不利益となりますよね。
また、先願に係る意匠として開示された意匠の理解を助けるためだけに説明的に加えられたものに創作の価値を認めて後願を排除することは意匠法第3条の2の規定の趣旨に反します。
ですから、参考図はあくまでも参考にするにすぎず、3条の2に規定された「願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部」には該当しないのです。
意匠の構成要素である形状、模様、色彩の一を観念的に分離したものについては、意匠の一部に該当するものとは取り扱いません。例えば、先願に係る意匠として開示された意匠が、物品の形状と模様の結合からなる意匠である場合には、その結合した状態の意匠全体における一部を指し、模様を除いた形状のみは意匠の一部に該当するものとは取り扱いません。
なお、後願の全体意匠が、先願の部分意匠の「意匠登録を受けようとする部分」と「その他の部分」を含む、部分意匠の意匠に係る物品全体の形態を表したものである場合は、後願の意匠は、先願の意匠の一部に該当するものとはなりません。