改良技術は誰のもの？

特許権者が特許権を他社にライセンスした場合において、ライセンスを受けた人が改良技術を発明したとします。この改良技術は誰のものでしょう？

もちろんそうです。でも、特に外国の大資本の企業相手の契約では改良技術を奪われてしまう場合も多いようです。

例をあげましょう。

ある特許があって、自社がその特許を実施したいと思ったとします。

特許を実施したい人はライセンサー（特許権者）から特許のライセンスを受けるわけですが、ライセンシー（ライセンスを受けた側）はすぐに製品化せずに改良実験をすることも多いんです。

すると、改良技術が発明されることがあります。

この改良技術は発明したライセンシーのものですが、ライセンサーは”もともとは俺の発明に基づいて生まれた技術なんだから改良技術も俺のものだ”と思いやすいんです。

なので、契約書に「改良技術はライセンサーに無償で譲るものとする。その改良技術に特許性がある場合はライセンシーが出願しても良いが、特許後は速やかにライセンサーに譲渡する」と記載することもよくあります。

でも、この契約を飲まなければライセンスしてくれないとしたら、飲んでしまいますよね

そう。フェアじゃありません。だから、もしも契約書にこんなことが書いてあったら突っぱねてしまってください。ライセンシーの改良技術を奪ってしまう契約は、独占禁止法違反ですから、許されません

でもね、改良技術の譲渡は常に独禁法違反かというとそういうわけではないんですよ

例えば、ライセンサーが小さなベンチャー企業で、ライセンシーが大企業だとします。この場合、もし大企業が改良発明の特許を取ってしまうと、資本力のないベンチャー企業としては特許権の独占実施がし辛くなってしまいますよね。

ですから、このような場合は、ライセンサーがライセンシーの改良技術を譲り受ける契約をしても独禁法違反にはならないでしょう。

そんな風に考えればOKです。

通常のライセンス契約では、実施行為（例えば販売に限るなど）、利用期間（契約の日より3年間だけなど）、利用分野（化粧品の分野に限るなど）を制限したりしますが、こういった行為は何の問題もありませんよ。

制限された範囲以外においては，ライセンサー自らが実施したり他のライセンシーに実施させたいという考えがあってのことでしょうから

交渉のスキルもあげるといいですよ。日本人は特に交渉が下手だと言われています。

グローバルな世界で生きていくには英語力をつけるだけでは意味がありません。知財交渉力は非常に重要ですよ

優秀な知財担当者になりたかったらぜひ身につけてほしいスキルですね。まあ、法務部にそんなスキルを持った人がいればいいんですが

じゃあ、社長であるあいぴーに頑張ってもらいましょうか（笑）