著作権法で著作権者として守られるためには、大前提としてその創作が「著作物」であるという要件を満たしていなければいけません。では、著作物とはどのようなものなのでしょうか
特許出願の準備しといてや〜
著作権法では著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号)と定義されています。
ちなみに、著作権法で問題となるときの「アイデア」というものは、大抵特許を取れるようなレベルに達していない思想であることが多いと思います。
とにかく、「創作的に表現」とは、他人の模倣でなく、著作者自身が表現したものであることが必要だと覚えてくれればいいです。
斬新なもの、文化的価値があるものであることは求められていません。ですから、あいぴーの書いた下手な絵であっても創作性があるんですね。
なお、当たり前ですが、単純な記号や図形などあまりにもありふれた表現方法は認められませんよ。
単なる丸だけ、四角だけ、ではありませんからね。
あの朗らかな優しそうな顔は十分に著作物性を有します。
あいぴーが特許を取ろうとした「いんじゃんホイというゲームのルール」はアイデアに過ぎませんよね。ですから著作物として著作権法で保護されることはありません。
もちろんゲームのルールのアイデアなどで特許をとることもできません。
別の人が同じゲームについてその人独自の言葉でルールブックを書いたらその人にそのルールブックの著作権が発生するし。
もちろん本だけでなく、ブログに記事をアップした場合もきちんと著作物として保護されます。保護されないのはあくまでも「表現される前のアイデア」なんですよ。
具体的に表現された後は著作物として保護されますから安心してください。
たとえば、このサイトのこの記事もきちんと著作権法で保護されていますから、無断で自分が書いたようにこの記事の文章を使ってしまうと著作権侵害になってしまうんですよ。
この記事の文章を紹介したい場合には引用の要件を守って適切に引用すれば著作権侵害とはなりません。
著作物の例示
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
ただ、著作物といえるかどうかは2条の定義に当てはまるものでなくてはなりません。
「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならないので、単なる事実やデータは著作物といえません。
たとえば、3号は日本舞踊、バレエなどの振付が該当しますが、振付自体が舞踊の著作物であって、これをもとに演じられる踊りそのものは実演として著作隣接権の保護を受けます。
そして、茶碗や壺、刀剣等の観賞用の一品制作品は美術工芸品として保護される。その一方、工業製品は著作物と認められないんだ。
だから、単なる工業製品か美術工芸品かで争いが起きることもよくあるよ。
ただし、法律家を目指す人やブログなどで人に著作権法を説明しようとする人はきちんと勉強をしなくてはいけませんよ。特に、半端に勉強して得た不完全な知識をインターネットで公開してしまうと、嘘を拡散することになってしまいますからね