特許権は取っただけでは意味がありません。
事業に活用していかなくては利益を生み出してはくれないのです。

しかし、有効に活用さえできれば、これほど強力な権利はありません。
ぜひ特許戦略を練って事業の優位性を確立しましょう!

チーたん
特許権には財産的価値があるということはふっくんから教わってわかったよ。だから、これからはバンバン発明して、ガンガン特許を取っていこうと思うんだ

ふっくん

特許を取っただけではお金になりませんし、むしろ取らない方がいい場合も多いんですよ

チーたん
え?そうなの?
ふっくん
特許出願をするときには発明の内容を詳しく記載した書類を特許庁に提出するのですが、出願日から一年六ヶ月経つと全世界に向けてその書類が公開されてしまいます。

書類は誰でも実施しやすいように詳しく書かれているので、特に新興国の技術者にとっては宝の山です。

特許出願は教科書みたいなものです。

もし私が新興国の技術者だったら、日本の特許を調べて真似しますね。

だって、無料で最新技術が公開されているんですから。研究にはお金も時間もかかりますが、特許を見ればそれが節約出来るんです。

無計画に何でもかんでも特許出願してしまうと、あっという間に他社に追いつかれて自社の売り上げが落ちてしまいます。

チーたん
じゃあ、特許を取らないで隠しちゃう!
ふっくん
でも、機械などは、リバースエンジニアリング(製品を分解してからもう一度組み立てること)によって簡単に真似できてしまいます。

他社製品を買ってそれを分解して技術を解析するのは当たり前ですからね。

チーたん
結局特許を取らない方がいいの?取ったほうがいいの?
ふっくん
機械の構造のように見るだけで真似できるものは特許出願して特許を取ったほうがいいでしょう。

一方、機械の作り方や材料の成分のように見ただけではわからないものは取らない方がいいでしょう。もしこのようなものまで特許出願してしまうと、他社がその方法を使用してこっそり製品を作ってしまいます。

そのようなときに止めさせられればいいのですが、売っている製品を見ただけでは、自社の特許を真似して作ったのかどうかわかりませんよね。侵害者の工場を覗いてみないかぎり侵害を発見できません。

ふっくん
ですから、製造方法の発明などは特許出願しないようにしましょう。

侵害を見つけにくい技術や簡単にコピーされて廉価で大量生産されてしまう恐れのある技術については特許出願せずに自社内で秘密にするのが鉄則です

チーたん
秘密にするにはどうしたらいいの?従業員に、「他人に話さないように」って言えばいい?
ふっくん
それだけでは全然足りません。

技術のアイデアやノウハウは人から人へ流れてしまうので、もし従業員が転職したり、接待を受けた場合は流出してしまう恐れがあります。

ですので、秘密技術について情報を持っている従業員に対しては情報流出についての厳格な契約書を予め作っておきましょう。

また、もしその製品が複数の工程を経て作られるならば、工程の一つ一つを別々の技術者が担当するようにしましょう。そうすれば全ての技術を知る人間がいなくなり、技術流出の防止になります。

ふっくん
さらに、生産コストを下げるために海外で製造をすることがありますが、海外では文化や倫理観が違いますし、目の届かない分、簡単に情報が盗まれてしまいます。

従って、重要な技術については国内工場だけで生産するほうがいいかもしれません。

チーたん
なるほどね~

ふっくん
ここで、大企業も使っている特許戦略をお教えしましょう

特許戦略

チーたん
教えて教えて!
ふっくん
最近、チーたんは新規の発明をしましたよね
チーたん
うん。チーたんxだよ!
ふっくん
チーたんの発明したその素材xについては秘密にして、素材xを使った発明(用途発明)については積極的にライセンスしていってください。

場合によっては無料で特許を公開してしまっても構いません。

チーたん
ええっ?ライセンス料もらえば儲かるのにっ
ふっくん
確かにそうですが、小銭は拾いません。それよりは特許発明が普及することを目指します。安ければ安いほど、多くの企業がその発明を実施してくれますからね。

他社がその発明を実施するときには、必ず素材xが必要になりますが、その作り方を知っているのはチーたんだけです。ですから特許発明の実施者は必ずチーたんから素材xを買ってくれます。

チーたん
なるほど!安定的に稼げそうだね
ふっくん
他社には作れないものですから、価格を下げる必要もありません。

中小企業にはとても有効な知財戦略ですよ。

チーたん
さっそく用途発明について特許を出願するよ!

ふっくん
用途発明についてだけなら自分で出願しても構わないでしょう。

ただ、重要技術を特許出願をするときには、必ず専門家に頼むか、専門家のチェックを受けてくださいね。


ふっくん
それをしないなら特許出願自体を止めてください。強い権利でないと、弱すぎて権利行使などできず、発明を無料で公開しているのと同じですから。

また、中核となる技術だけでなく周辺技術についても特許出願をして特許の網を作ってください。網の目の少ない強固な網は自社技術を守ってくれます。

他社はその特許網を見ただけで関連技術を研究開発しようとは思わなくなりますし、真似をする気もなくなります。存在するだけで鉄壁の壁となります。

ふっくん
その特許網は、特許無効審判を請求された場合にすら役にたちます。

こちらが侵害者に対し特許権侵害訴訟を提起したときに、相手は特許無効審判を請求してくることがありますが、無効審判は一つの特許にしか請求できないのです。そのため、無効審判を請求する人は、無効にする証拠を一つずつ一生懸命探し出さなければならず、大変な手間となります。

ですから、侵害者は無効審判を諦め、和解で決着することも多くなります。

チーたん
すごいね!
特許権の網を作るのにかかるコストが気になるけど(笑)
ふっくん
まだまだ話したりませんが、今日はこの辺にしておきましょう。