インターネットが発達した現代において、他人の著作物の引用や転載を行うことは日常茶飯事です。
しかし、簡単にコピペできるからこそ、簡単に著作権を侵害しないように注意を払わなくてはいけません。
「もし、自分の作品が引用されたら・・・」そんな風に考えながら読んでみてください。引用の要件がすんなり頭に入ってくると思います。
勝手にコピペして自分のブログに貼り付けたら著作権侵害になりますよ。
まず、未公表の著作物であってはいけません。未公表の著作物を公表するかどうか決める権利は著作権者にありますからね。
この点ブログに載せられているものならこの要件は心配する必要はありません。
例えば、他人の意見を批判するときに、必要のない部分まで載せてはいけません。
自分の文章がメインで、相手の文章が従でなければいけないので、自分の文章より相手の文章の方が長いのではいけません。
ただし、絵や写真の場合で仕方がない場合は全部を載せても構いません。
また、公正な慣行に合致するものでなければいけません。たとえば、他人が書いた文の言い回しをそのまま用いるようにします。
間違っていることに気づいてもそのまま載せて、「まま」と注釈を入れておくといいでしょう。
故意に一部の表現だけを抜き出して「引用」とするのもいけませんよ。
社会評論系の漫画などでよく見かけますが、自分の意見を裏付けるために、わざと資料の一部だけを引用してほかの部分も載せず、意図的に意見を操作するような引用をする人がいます。
漫画は比較的年齢層の低い人たちが読むので、そんな引用の仕方にも騙されてしまう可能性があります。
著作権法の法目的に反する行為ですので、慎まなければいけません。
文を引用する場合は、かぎかっこでくくるなど(他には、字体を変える等)して、引用した部分がはっきりわかるようにします。
書籍から引用した場合には何ページからの引用かということを明示しなければいけません。
音楽の場合は氏名を表示することが困難ですし、また表示をしなくても著作者の人格的利益を損ねないと認められるので氏名の表示は省略してもよいことになっています。
絵画の場合には、なるべく絵画の近くに出所を明示しなければいけません。
以上の要件を満たせば、著作権者の許諾をもらわなくても勝手に引用できます
禁転載の表示がされているのは、国などが発行している刊行物や資料だけです。
それらは、引用の要件を守らなくても自由に雑誌などに転載出来るとされているのですが、「禁転載」の表示があるときは、引用の要件を守らなければ載せてはいけないとされています(著作権法32条2項)
ですから、引用の要件さえ守ればどんなものでも利用していいんですよ。
通常の個人の書籍やホームページなどは「禁転載」の表示などする必要がありません。
そうしたくなる気持ちはわかりますが、そんなことしなくても著作権法で無断転載は禁じられているので大丈夫です。
ちなみに、引用もされたくないから「禁引用・転載」なんて表示しても効果はありません。
自分が主張するだけ主張して他人の意見はシャットアウトというのは文化の発展に寄与しませんからね。
引用する側も著作物であることも必要ですから。
特に、グーグルアドセンスのような広告が載っていたり、アフィリエイトをしていたり、事業の紹介が乗っているような営利目的のブログやサイトでは要注意です。
著作権に限らず、知的財産権法は、すべて「知らなかった」という言い訳は許されません。
許されるのは、著作物の存在を知らずに偶然同じような著作物を創作したときくらいです。(ちなみに特許法や商標法では偶然同じような創作をしたときでも侵害になります)
コピペを禁止できるという点は良いのですが、パロディや批判ができなくなっては困ります。
批判があってこそ著作権法の目的である文化の発展が達成されるのですから。
著作権者と著作物を使いたい人、両方のバランスを取ることが大事なんだね
このタグで囲った部分は、引用していますよという表示になります。もちろん出所の表示は忘れないようにしてください。
blockquoteというタグを使うと、SEO上も有効となります。
よく、「重複コンテンツを載せていたせいでグーグルからペナルティを受けた」という話を聞きませんか?
善意で他人の文章を紹介しているときでも、その引用文が長いと、コピペサイトと認識されてしまう恐れがあります。
したがって、書籍ではなくホームページやブログで他人の文章を引用するときは、このタグで囲って「引用しているだけですよ」ということを伝えてあげればよいのです。
このサイトでも、条文を引用するときはこのタグを使っていますよ。
たとえば、この特許法72条の説明の記事を見てください。
特許法の条文の部分が薄い水色で囲まれていますよね。
これが、先ほどのタグで囲った部分です。
法律の条文はそのまんまコピペをすることになるので、このタグで囲まずに引用することは好ましいことではありません。
条文自体は著作物ではないのですが、条文のコピペで字数を稼ぐなんて好ましいことではないですよね。
読者にとって地の文と分け、見やすくすべきです。
ですから、他人の文章だけでなく、法律の条文などを引用するときも、このタグを使うようにしてください。