ブランドという言葉は日常語として使うときと、マーケティング用語として使う時と法律用語として使うときとでそれぞれ意味合いが異なるようです。
ここでは、ビジネスと知的財産権を扱うときに使う「ブランド」について説明いたします。
ブランド、すなわち商標の機能のうち顕著なものは、自他商品の識別機能でしょう。それから品質保証機能と出所表示機能と宣伝広告機能の4つが商標法のいうブランドの4大機能です
私から見ると、マーケティングの人たちは、顧客との関係等を重視しているようにみえます。
法律家たちは、ブランドを巡って争いが起きないように、また争いが起きたときに適切に対処出来るように商標の使用者同士の関係を重視しているようにみえます。
したがって、商標登録を受けることを重視します。
商標登録を受けて商標権を有していなかった場合には保護のレベルが下がってもやむを得ないと考えます。
予め将来の病気やケガに備えて保険の加入した人(予め将来に備えて特許庁へお金を払って商標登録を受けた人)と、何もしないで、病気になったときに慌てて保険会社に駆け込む人(争いが起きてから権利を主張する人)の保護を同じにしたら公平ではないですよね。
ですから、マーケティングにしろ法律にしろ、ブランドには財産的な価値があるという認識については共通しますが、マーケティングは、ブランドをどう利用すればよりお金が稼げるかを重視し、法律は、どうすれば公共の利益を守れるか、公平な取り扱いになるかということを重視します。
さて、他商品識別機能にしろ、顧客への品質保証機能にしろ、出所表示機能にしろ、どれもブランドの一面を捉えているので全部重要ですが、あくまでも一面しか捉えていません。
全てが重要で複雑に絡み合っています。
したがって、ブランドマネジメントとは、商標を使い続けることにより、その商標に信頼を蓄積させ、商標の機能を明確にし、競争優位性を高めることを目的とした経営活動と定義出来るでしょう。
ブランド力を高めるためには、他の知財の存在も重要です。
つまり、商標法の保護する商標とは、他の知的財産権の保護する創作物ではなく、単なる選択物に過ぎないので、それ単体では価値がないのです。
したがって、ブランドの価値を高めるためには、誠実に事業を続けるという経営活動に加え、他の知財を活用することが大事です
これをAIPブレンドマネジメントと呼びましょう。
ブランドを中心とした長期的な視点からの戦略・プランが必要なのです。
突出した技術の存在をアピールできる特許権、かっこいいデザインの存在をアピールできる意匠権、そして、それらの存在に裏付けられてブランドは力を増し、ブランド力の向上により、人材が集まり、より良い技術やデザインを生み出し、より高価値の特許権と意匠権を得られる・・・というサイクルが回るようになります。
自社だけで実施すると露出する場が限られるため、ブランドの構築に時間がかかってしまいますが、他社とパートナー関係を築くことが出来れば、短期にプレミアムブランドを構築出来るでしょう。
ブランドが育つまで何年も待つのは苦しいでしょう。
しかし、このように他社の力を借りたりすることにより、短い期間にブランドを構築することは可能です。
大切に育てたブランドの価値は、不動産を含め会社の財産全てを足しても追いつかないほど高いものになるので、ぜひAIPブレンドマネジメントを実践してくださいね。
・・・もぐもぐ・・・