著作権は財産権ですが、人によっては著作権なんていらない!と思う人もいることでしょう。
しかし、目に見えない財産である著作権は捨てることなんて出来るのでしょうか。

チーたん
あいぴー、何見ているの?

あいぴー
どわっ!突然覗き込むなや!

チーたん
何をそんなに慌ててるのさ(笑)
見られてまずいもの見ていたの?
あいぴー
む、昔書いた小説なんて見とらんわっ!
チーたん
・・・昔書いた自分の中二病な小説を見ていたんだね・・・
しかもイラスト付き・・・
あいぴー
若気の至りというやつや・・・
チーたん
2年前はまだ最近と思うけど・・・
まあ、ぼくにも覚えはあるから(^^;
こういうのって恥ずかしいから誰の目にも触れられなくしたいよね
あいぴー
どうにかならないんか?
チーたん
原稿や原画を捨てることはできるけど、一度ネット上に発表したものを消すことはできないよね・・・
著作権を捨てることで対応できないかな?
あいぴー
著作権は著作物の創作と同時に発生するんやから強制的なものやろ?捨てることなんて出来へんわ
チーたん
できそうだけどな。ふっくんに聞いてみよう。
ふっくん、著作権は捨てられるの?
ふっくん
著作権の放棄ですか?もちろん出来ますよ。
チーたん
条文は何条?
ふっくん
著作権法上に明文の規定はありません。
しかし、著作権も他の知的財産権と同じく、”財産権”なのですから、当然に捨てることはできますよ。
着なくなったブランド物の服を捨ててしまうようにね。
あいぴー
ブランド物の服なら捨てずにリサイクルショップで売るか質に出すわ。
ふっくん
そうそう、質といえば、著作権に質権が設定されている場合は質権者の承諾無しに著作権を放棄することはできませんよ。質権者の利益を害してしまいますからね。
同じように出版権が設定されている場合も勝手に著作権を放棄することは許されません(特許法97条参照)
チーたん
著作財産権は捨てられることはわかったけれど、著作者人格権は放棄できるの?
人格権を放棄なんて出来そうもないけど・・・

著作権は創作と同時に発生するのだから、何か意思表示をしないといけないんじゃないかな?

ふっくん
その通りです!
通常は人格権を放棄することはできません。
しかし、CC0の表示をすれば著作財産権だけでなく、著作者人格権も放棄出来るのです。
これにより、その著作物はパブリックドメインとなり、誰もが自由に利用することが出来るようになります。
つまり、あいぴーとは関係のない第三者があいぴーの著作物を元著作権者であるあいぴーに無断で複製したり翻訳して販売すること等なども可能になります。
チーたん
なるほど!
ところで、著作者人格権の放棄って、著作権契約をするときにする「著作者人格権の不行使特約」に似ていない?
ふっくん
どちらも同じ効果を有しています。
チーたん
なるほど。
あいぴー
うちの過去の創作を亡きものとするためにはCC0の表示をすればいいわけやな?
さっそく・・・
ふっくん
待ってください!著作権の放棄と過去作品の抹消は違いますよ!
あいぴー
え?
ふっくん
著作権を放棄するということは、既に述べたように「みなさんどうぞこの著作物をご自由にお使いください」ということで、「著作物が広まりやすくなる」効果があります。
あいぴーが期待している結果と逆効果になりますよ。
あいぴー
!!
・・・じゃあ、うちがやろうとしていることは、過去の恥ずかしい作品をより広まりやすくするだけ・・・?
ふっくん
そうですよ。
一方、過去に創作したものの抹消とは、人の目に触れないように作品を消し去ることですよね。インターネットが発達した現代では、一度発表したものを取り消すことなんて無理です。
なるべく知られないようにすることはできますが、完全に消し去るなんて無理なんですよ。
あいぴー
そんな・・・
じゃあ。2年前に出版したこのうちの恥ずかしいデビュー作は広まり続けるんやな?
ふっくん
出版権者にお金を払ってこれ以上出版しないようにすることはできますよ。
あいぴー
過去の本を全て回収することは無理やろうけど、これ以上恥の上塗りは防げるから、それもエエかもしれんな
チーたん
その前に、あいぴーの書いた小説なんて誰も読んでいないから気にしなくていいと思うけどな。自意識過剰なだけだと思うよ(笑)
あいぴー
うっさいわ!