ジェネリック医薬品という言葉は頻繁に耳にすると思います。では、オーソライズドジェネリックという言葉は聞いたことがありますか?

あいぴー
今日薬局に行ったら、「この薬にはオーソライズドジェネリックがありますよ」と言われたんやけど、オーソライズドジェネリックって何やの?
チーたん
ジェネリックならよく聞くけど、オーソライズドジェネリックは聞いたことがないなぁ。
ふっくん
オーソライズドジェネリック(AG)とは、先発薬と同じ原料を使っているだけでなく、同じ製法、同じ生産ライン、同じ添加物で作っているジェネリック医薬品のことです。有効成分も同じです。
チーたん
それって、先発薬そのものじゃないの?
ふっくん
そうですね。同一かほぼ同等ですね。ですから、生物学的同等性試験も免除されています。
普通のジェネリック医薬品は、先発薬の会社とは違う会社が製造販売しますが、オーソライズドジェネリックは、同じ会社が作っていて販売だけ違う会社だったり、子会社に作らせていたりします。
オーソライズドジェネリック(AG)の一番の特徴は、品質が先発薬と同じなのに薬価がジェネリックと同じ、というところですね。
あいぴー
めっちゃお得やん!
ふっくん
そうなんですよ。
違うのは薬剤の識別コードくらいです。

新薬の特許が切れても、それは物質特許の特許権の存続期間が満了したということであって、製法特許などが残っている可能性があります。ということは、ジェネリック医薬品というものは、先発薬と同じではないんです。
患者さんによっては薬の効き目に違いが出たり、副作用が出てしまうこともあるでしょう。

チーたん
でも、AGなら効き目は先発薬と同じというわけだね。
ふっくん
オーソライズドジェネリックは、新薬製造会社から許諾を得ることにより、特許権の存続期間満了前6月から独占販売が認められています。
これにより、市場を早期に独占することができます。
たとえば、一度一つのジェネリック医薬品を選んだ薬局は後になって別のジェネリック医薬品に変えることはしにくいという事情があります。そのため、早い時期に販売を開始するほど有利なのです。
チーたん
僕は今までジェネリック医薬品ってなんだか怖くていつも先発薬にしてもらっていたけど、同じ品質・有効成分で低価格ならAGもいいかなって思っちゃった。
あいぴー
先発薬の開発会社は、なんでジェネリック医薬品の会社名で販売したり、製造方法を教えたりするんやろ?
ふっくん
たいていは、先発薬の会社の関連子会社がジェネリック医薬品を販売することになりますから、グループ全体で見ればマイナスとはならないからでしょう。
また、たとえ他社に製造許可を与えたとしても、自分の目の届かない会社が後発薬を乱発するよりもオーソライズした会社が販売してくれた方がノウハウ料・ライセンス料をもらえて収益的にもプラスと考えているのでしょう。
パテントクリフに対する製薬会社の収益確保策ですね。

製薬業界ほど、特許権の存続期間の満了が重要となる業界はありません。
薬剤の代金よりも新薬の研究開発費の方がずっと高額なのですから、特許切れを今か今かと待ち構えている後発医薬品メーカーの存在は新薬メーカーにとって、正に目の上のたんこぶでしょう。

オーソライズドジェネリックを利用すれば、特許が切れる半年前からジェネリックの販売を開始できるので、フライングスタートしたみたいに市場で有利な立場を得ることができますから、新薬メーカーにとってオーソライズドジェネリックというものは重要なのです。もちろん、新薬メーカーだけでなく、一般消費者にとっても先発薬と同じものを安く買えるのでメリットは高いですよ。

チーたん
なるほどね~。
ふっくん
まだオーソライズドジェネリックの数は少ないといえますが、これからその数はどんどん増えていくことでしょう。
日本の医療費削減に貢献するためにも、ジェネリックが嫌いな人もオーソライズドジェネリックに関しては積極的に選んでいきたいですね。