ジェネリック医薬品に比べ、聞きなれない言葉「バイオシミラー」。この「バイオシミラー」とは一体何なのでしょうか。そして、特許における問題とその解決法とは。
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チーたん
今朝ニュースを見ていたら、「製薬会社がバイオ後続品の製造販売承認申請者の会社を用途特許の特許権侵害で提訴」って言っていたのだけど、バイオ後続品って何?

ふっくん
バイオ後続品とは、先発医薬品が、バイオテクノロジーを用いて製造した*バイオ医薬品である場合において、後発して別の会社で製造販売される医薬品のことです。バイオシミラーとも言います。

*バイオ医薬品とは、「遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造されたタンパク質性医薬品」のこと

チーたん
ジェネリック医薬品ということ?
ふっくん
ジェネリック医薬品に含まれますが、「先発医薬品の特許及び延長期間が切れた後に発売される、先行バイオ医薬品と同等・同質の品質、有効性、安全性が確認され、先行バイオ医薬品と「類似の」ものであるとして承認されたバイオ医薬品」のことです。
シミラーは日本語で「似ている」を意味しますよね。その名の通り、バイオシミラーは先発医薬品と似ている薬になります。
チーたん
先発医薬品の特許が切れた後に発売されるって・・・やっぱりジェネリック医薬品なんだよね?
ふっくん
バイオシミラーはジェネリック医薬品に含まれます。ただし、バイオシミラーとジェネリック医薬品はイコールではありません。

大まかに言うと、先発医薬品がバイオ医薬品の場合にバイオシミラー(バイオ後発品)と呼ぶのに対し、先発医薬品がバイオ医薬品以外の場合(低分子化学合成医薬品)の場合をジェネリック医薬品と呼びます。

そして、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含有していることから、薬物動態が生物学的に同等であれば有効性および安全性も同等であるとみなされます。そのため、ジェネリック医薬品では有効性と安全性を確認するために臨床試験を行う必要はありません。

低分子医薬品の場合、構造が簡単なので、全く同じ成分であることを証明することができますからね。

 

一方、バイオシミラーは、有効成分は全く同じではなく、成分が似ているだけに過ぎません。そして、アミノ酸配列が先行バイオ医薬品と同一でも分子レベルで同一であることを証明することは困難です。そのため、バイオシミラーの承認申請においては、有効性、安全性に関する同等性・同質性を検証するために、臨床試験を行うことが求められています。

このように、バイオ医薬品は構造が複雑なので分子レベルで本当に同一なのか確認することは困難です。

承認申請時に必要な資料は、ジェネリック医薬品では最大4種類ですが、バイオシミラーでは臨床試験成績を含む最大20種類に上ります。

チーたん
そんなに!バイオシミラーの場合は、新薬並に申請資料の提出が必要なんじゃない?
ふっくん
新薬ほどではありませんが、かなりの申請資料の提出が求められますね。

バイオシミラーは高度なバイオ技術を用いているので製造工程が複雑で、ジェネリック医薬品よりも多くの試験を行うことが必要なのです。

また、バイオシミラーの場合は商品を発売して終わりではなく、新薬と同じように発売後も製品の安全性について引き続き調査しなければいけません。これもジェネリック医薬品とは大きく異なる点ですね。

チーたん
バイオ医薬品って普通の薬より高いんでしょ。バイオシミラーが作られれば患者にとっては経済的に助かるよね。

ふっくん
そうですね。しかし、バイオシミラーの製造は困難です。

たとえば、先発医薬品としてバイオ医薬品の特許が切れたとは言っても、医薬品の製造方法など全てが公開されている訳ではありません。これについては以前にお話したとおりです。

 

バイオシミラーとして値段の安いバイオ医薬品を作成する場合、製造方法なども自社で開発して行かなければいけません。

そのため、開発費は新薬ほどではありませんが、相当かかります。

チーたん
う〜ん、何のための特許なんだろうって思っちゃうよ。
世界全体で無駄な研究開発を省くために一番最初に薬を開発した会社に独占権を与えているのに。

一定期間特許で独占権を享受したら、あとはジェネリック・・・じゃなくてバイオシミラーが作られたっていいじゃない。

ふっくん
チーたんはそう考えるかもしれませんが、新薬開発会社には、新薬開発のために莫大な資金を投資したという言い分がありますからね。難しいところです。

チーたん
バイオシミラーの薬価はどうなの?

ふっくん
バイオシミラーの薬価は原則として先行バイオ医薬品の70%となります。ただし、臨床試験を実施した実績等を踏まえて10%までの上乗せが認められる可能性があります。

チーたん
バイオシミラーってジェネリック医薬品に比べて作るのが大変なのに、なんで作っているの?
ふっくん
バイオシミラーはも開発期間はジェネリック医薬品の5倍近く、開発費はジェネリック医薬品の100倍近くかかると言われています。

こんなに作るのが大変なら作らないで新薬開発をしたほうがいいと思ってしまいますよね。

 

しかし、バイオシミラーの方が新薬開発よりも開発期間や開発費は少なくて済むんですよ。

新薬開発に必要な期間は10年以上ですし、開発費も300億円以上ですからね。

 

成功確率も高いのですからバイオシミラーを開発したほうがいいということになります。

 

それに、最近では医薬品の売上の上位をバイオ医薬品が占めています。

チーたん
知ってる!リウマチ治療薬のヒュミラやエンブレルの売上高ってすごいんだよね。
ふっくん
そうです。それから、癌治療薬のハーセプチンやリツキサンもね。
特許権侵害訴訟を提起したというニュースでこの薬の名前を聞いたこともあるでしょう。
チーたん
でも、バイオ医薬品の特許を持っている会社って外国の製薬会社だよね。日本の会社は専用実施権を持っているだけだったり・・・
ふっくん
そうなんです。日本はバイオ医薬品の開発に乗り遅れてしまったのです。ですから、今になって必死でバイオシミラーを製造開発しているのですが、バイオシミラーの場合は特許を回避することはかなり難しいのです。
チーたん
日本のバイオシミラー製造会社は差止請求を受けたりして全然利益が出ていないよ。どうにかならないの?
ふっくん
この問題を解決するには、日本の会社がバイオ医薬品の用途特許を開発し、その特許をクロスライセンスの材料にしてバイオ医薬品の製造をするということが考えられます。
チーたん
そうか!さすがふっくん。
特許を制するには特許でってことだね
ふっくん
それから、日本国内ではまだまだバイオシミラーが普及していません。この問題に対処するには特許以外での独占権をバイオシミラー開発会社に与えたり、バイオシミラーを選択した患者の薬価を減額したりといった政策が必要になるでしょう。
チーたん
医薬品の売上の中でバイオ医薬品の占める割合は高いのに日本ではバイオシミラーは普及していないしオーソライズドジェネリックはないし問題は山積みみたいだね・・・(^^;