著作物を利用したい場合、通常は著作権者に許諾を貰わなければいけません。また、著作者がわからない場合は裁定制度を使わなければいけません。

しかし、そのような手間のかかることをしなくても、他人が著作物をある程度自由に使えるようにしようというプロジェクトがあります。それをクリエイティブ・コモンズ・ライセンスと言います。

CCライセンスは著作権法に詳しくない人でも使用しやすい簡易な表記をするだけで使えます。

あいぴー
・・・お、この写真エエやん
チーたん
あいぴー、何しているの?
あいぴー
写真サイトで会社のブログに使うための写真素材をダウンロードしとるんや。
無料やで。
チーたん
こんなに綺麗な写真が!?本当に無料なの?
著作権侵害をしたら会社名を傷つけちゃうし、迂闊なことはしない方がいいよ
あいぴー
そうやな。ふっくん、教えてーな。この写真は本当に無料でダウンロードしてエエの?
クリエイティブ・コモンズとかなんとかって書いてあるんやけど何やの、これ
ふっくん
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)ですよ。

一言で言うと、著作物の利用を促進するためのライセンスです。
通常は、著作権者以外の人が著作物を勝手に使用すると著作権の侵害となってしまいます。

 

しかし、著作物をある程度使ってもらってもいいと思っている著作権者もいます。

 

たとえば、自分の名前さえ表示してもらえれば使ってくれても構わない、とかね。

 

でも、心のなかではそんな風に思っていても、それを外形的に意思表示しない限り、他者は著作物の使用を躊躇してしまいますよね。

 

そこで、米国の法学者ローレンス・レッシグ達が考え出したこのCCライセンスの出番です。
自分が許せる範囲の著作物の利用の仕方をマークで表示することにより、著作物の円滑な利用を行えます。

チーたん
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスってクリエイティブコモンズという団体がライセンスをくれるの?それとも法律なの?
ふっくん
いいえ、どちらも違いますよ。クリエイティブコモンズは仕組みを考えただけです。
クリエイティブ・コモンズライセンスをつけるのは各著作者です。
ただし、法律ではないといっても法的拘束力はあります。利用規約には従わないといけません。といっても法律に詳しくない人でも理解できるようにイラスト表示されており、直感的に理解できます。

 

ライセンスの条件は4種類あります。

 

まず、このマークは「表示」。

著作物のクレジット(著作権者や原作者の名前や作品名等)を表示することによりその著作物を利用してよいという条件を意味します。

 

このマークは「非営利」。

営利目的での使用を禁ずるという意味です。日本だと円のマークですが、アメリカだとドルのマークだったりします。ただ、どちらが表示されていても効果としては同じです。

このマークを付けていても、たとえば企業から商業目的で利用したいという申し出が合った場合には営利目的での使用を許諾することができます。
つまり、対価を支払ってもらう場合には営利目的OK、支払いがない場合には非営利でのみOKという住み分けができるのです。

 

 

このマークは「改変禁止」。

元の著作物を改変しないという条件です。

 

 

このマークは「継承」。

元の著作物と同じ組み合わせのCCライセンスで後悔するという条件を意味しています。

 

 

これらの4つのマークを組み合わせることにより、CCライセンスは6種類に分かれます。

 

著作権者に残る権利が強いライセンスから順に説明しますね。これらの表示が一切ない著作物は、通常の著作権であり、最も強い著作権が発生と同時に付与されます。

一番上の表示をすると普通の著作権よりは少し弱い著作権になります。

一番下のCC0は、著作権がゼロ、つまり著作権を放棄しているという意味です。

つまり、著作権の保護期間内にあるにもかかわらず、パブリックドメインと同じように誰もが自由に使えます。

 

 

表示—非営利—改変禁止(BY – NC – ND)


著作物のクレジット(氏名など)を表示 + 非営利目的 + 元の作品を改変しないこと
この3つを条件に、作品を自由に再配布できるCCライセンス。

 

表示—非営利—継承(BY – NC – SA)

著作物のクレジット(氏名など)を表示 + 非営利目的 + 改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること
この3つを条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。

 

表示—非営利(BY – NC)

著作物のクレジット(氏名など)を表示 + 非営利目的
この2つを条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス。

 

表示—改変禁止(BY – ND)

著作物のクレジット(氏名など)を表示 + 元の作品を改変しない

この2つを条件に、営利目的での利用(転載、コピー、共有)が行えるCCライセンス。

 

表示—継承(BY – SA)

著作物のクレジット(氏名など)を表示 + 改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開すること

この2つを条件に、営利目的での二次利用も許されるCCライセンス。

 

表示(BY)

著作物のクレジット(氏名など)を表示を条件とし、改変や営利目的での二次利用も許される非常に自由度の高いCCライセンス。

 

そして、最後にCC0があります。

 

これは、著作財産権及び著作者人格権を放棄するという意志表示です。

この表示をすると、その創作物は、パブリックドメイン状態に置かれます。そして、誰もが自由にその作品を利用出来るようになるのです。

チーたん
自由にって・・・たとえばその創作物がキャラクターのイラストだったとして、そのキャラクターに吹き出しをつけてセリフを言わせて(同一性保持権の侵害)、しかもそれを販売してもいいの?
ふっくん
ええ。構いません。
チーたん
後から「やっぱり止めてくれ」って言われないかな?
ふっくん
著作者の意に反した利用をすると言われる可能性はありますね。
ただ、一度CC表記をしてしまうと、ネット上では一気に拡散してしまう恐れがあります。ということは、その作品を創った人は、CC0の表示をするときには取り消せないのですから十分に注意をしなければいけません。
チーたん
怖いからぼくが著作者だったらCCライセンスの表示はしたくないな・・・
ふっくん
その考え方も一理ありますね。ただ、CCライセンスを表示すると、他人がその著作物を気楽に使ってくれるようになるので作品が拡散しやすいというメリットもあります。

ですから、メリットとデメリットを比較衡量してCCライセンスを付与するかどうか決めたいですね。

チーたん
ぼくの場合、名前さえ表示してもらえれば、著作物を自由に使ってもらってもいいけどな。
まあ、ぼくの書いた文章や絵なんかへっぽこだから誰も使いたくないだろうけど(笑)
ふっくん
チーたんは普段、研究開発部で発明をしているわけですが、その発明を特許出願するのではなく、論文にまとめて、CCライセンス(最低限、「原作者表示 BY」)をつけて一般に公開するということもできます。

このように、発明をCCライセンスをつけて公開することのメリットは、情報が拡散しやすいというメリットがあります。
すなわち、特許権を得ることはできませんが、代わりに素晴らしい発明をした人として有名になり名誉を得ることができます。

チーたん
田中耕一さんみたいにノーベル賞に繋がりそう
ふっくん
田中耕一さんレベルの素晴らしい発明をできれば・・・ですがね。
いずれにせよ、特許で発明を囲い込むこと無く社会のために発明を公開してくれる人として好意的に迎えられるでしょう
チーたん
やってみようかな
あいぴー
そんなの許さへんで!
ふっくん
あいぴーの意見は最もです。会社は営利目的なのですから、従業員が勝手に職務発明公開してしまっては困ります
チーたん
じゃあ、職務時間外にした発明を公開するよ。そんな発明できれば、だけど(笑)

あいぴー
チーたんの代わりに社長であるうちが責任を持って素晴らしい写真をCCライセンスをつけて公開したるわ。ほれ

チーたん
・・・何これ?
あいぴー
見てわからん?ナスや
チーたん
ナスというのはわかるけど・・・何か変
あいぴー
鼻(?)の長い変な形のナスが売っていたから目と口をつけてあげたんや。
可愛いやろ
チーたん
こんな変なナスこうしてやるっ
あいぴー
ああー!鼻がもげてもうた!!

ふっくん
今の状況を私が写真に撮りました。この写真にCCーBYライセンスをつけましょう。
どうぞみなさん使ってください。


チーたん
誰もこんな写真いらないよ・・・

あいぴー
しゃーない。うちの愛らしい写真を使わせてやるわ。お寺で座禅をしとるところや
CC – BY NC ND やで

座禅をするあいぴー
座禅をするあいぴー

チーたん
ケチくさ。ただでさえ誰もこんな写真使いたがらないんだから、一番使いやすいBYライセンスにすればいいのに
ふっくん
肖像の場合は気をつけたほうがいいので、これくらい厳しくていいと思いますよ。既に述べたように、CCライセンスはあとから「やっぱり使うの止めて」と言えないのです。

肖像写真を営利目的で改変利用OKとしてしまったら、困るのはわかるでしょう?

チーたん
怪しげなサプリの愛用者のモデルとして使われるとか・・・
「私も買っています」というセリフと共に仮想通貨のモデルに使われたり・・・
ふっくん
そうです。昔の人ならともかく、現存している人の肖像を自由に使えるとすると人格や名誉も傷つけますよね。ですから、肖像に関してはCCライセンスの付与は特に気をつけてください。
また、たとえCC0の表記があったときでも、どうも著作権者でない人がCC0の表記をしたらしいと疑われるときは使用は避けてください。そういうことをする人もいる可能性があるので。
もし勝手にCC表記をされてしまった場合でも、使われてしまった創作者は、CC表記をした人に著作権侵害として責任を追求することはできません。
チーたん
法律家向けのリーガルコードになんかいろいろ書いてあるみたいだけどよくわかんないなー。
まぁ、いざとなったらふっくんに聞けばいいよね。CCライセンスの良いところは、このマークの意味さえわかっていれば法律の素人でも著作物にCCライセンスを付与することができるということだね
あいぴー
ところで、もし2つのクリエイティブコモンズライセンスがついていたらどういう風に解釈したらエエの?
ふっくん
作品を利用したい人は2つのCCライセンスのうち、好きな方を選んで使えます。
たとえば、「BY-NC(表示-非営利)」と「BY-ND(表示-改変禁止)」のCCライセンスがついている場合、非営利でなら原作者クレジットを表示すれば改変利用できる状態か、改変しないことを条件に営利目的で使うかを選ぶことができます。
あいぴー
営利目的も改変も禁止したいなら、BY – NC – NDにすればエエんやな
ふっくん
そうです。もし何か理解できないことがあったらいつでも聞いてくださいね。
では、私はこれから写真を撮りにいってきます!
チーたん
ふっくんも写真にCCライセンスをつける楽しみを覚えたみたいだね(^^;

あいぴー
このサイトの他のページに使われているうちの写真もみんなCC – BY NC ND で使ってエエで

チーたん
あいぴーはあいぴーで自分の写真を使われることに快感を覚えているし・・・(- -;)
まぁ、文化の発展のためにはこれでいいんだろうね