人気アニメや映画などのキャラクターの名前を聞いただけで、ファンは飛びついてしまいます。ですから、人気作品のキャラクターの名前には顧客吸引力があるといえます。
・・・ということは、商標登録することができれば他人でもその顧客吸引力を独占できるので、お得ですよね!?
・・・しかし、悪いことはできないようですよ。

あいぴー
なーなー、マンガとか小説のキャラクターの名前を商標登録することはできるん?

チーたん
できるらしいよ。

あいぴー
じゃあ、「ルフィ」と「高坂穂乃果」で商標登録出願しといてや!指定商品はうちの会社の商品で。

チーたん
え?ちょっと待ってよ。自分の書いた小説じゃなくて、他人の有名作品のキャラクター名?
そんなの商標登録しちゃっていいのかな?

ふっくん
一応できますよ。商標法には禁止規定がありませんから。

チーたん
でも、何か悪いことのような気がするんだけど・・・
キャラクター人気に便乗しているような・・・

ふっくん
チーたんの感覚は正しいですよ。
実は、こういった有名小説等のキャラクターの名前を商標登録出願しても、商標法4条1項7号違反で拒絶されたり、仮に登録されても無効にされてしまう可能性が高いのです。

たとえば、「ルフィ」という商標で「ゴム」について商標登録を受けようとしたら、ゴム人間のルフィを彷彿させることから商標法4条1項7号違反の拒絶理由に該当する可能性があります。


あいぴー
でもうちの会社の商品はゴムではないから大丈夫やろ

ふっくん
どうでしょうね。人気漫画の主人公の名前ですからね。通常はこんな短い名前なら名前と気づかず登録されてしまうでしょうが、一般消費や向けの指定商品、たとえば菓子パンのようなものだと無理でしょうね。

また、仮に審査官が「ワンピース」という漫画を知らずに当該商標を登録させてしまったとしても、著作者など関係者が無効審判を請求することで商標登録を消滅させることもできるでしょう。

まあ、「海賊王」という商標登録を受けている人もいますが、ツイッターで話題になってしまいそうですよね
実際、その会社は「必殺技」の商標登録出願をしたためにツイッターで叩かれてしまいましたし・・・

チーたん
やっぱり悪いことは出来ないんだね

ふっくん
はい。これについては判例もあります。
まずは有名なポパイマフラー事件。
これは、著作権者から正当にライセンスを受けた者がポパイを付したマフラーを販売したときに、「ポパイ」の商標権者が権利行使をしてきたのですが、その権利行使は認められず、「ポパイ」商標権に4条1項7号違反の無効審判を請求され無効にされてしまった事件です。

また、Tarzan事件では、ターザンの小説とまったく関係のない日本人がTarzanについてプラスチック加工機械器具等について商標登録を受けようとしたところ、指定商品は一般消費者を相手にしたものではないので「顧客吸引力」に便乗しようとする不正の意図は認められないものの、国際信義に反するという理由から商標登録は維持できないとされました。

あいぴー
じゃあ、せめて「高坂穂乃果」で商標登録を受けてや・・・

ふっくん
それは、そもそも商標法4条1項8号違反で拒絶されてしまいそうですよ。

チーたん
しかも、審査官がラブライバーだったらめっちゃ怒りそう!(笑)