2016年度から新しいタイプの商標として動きや等の商標の商標登録出願が認められるようになりました。
そこで、新たな問題が浮上してきました。
それは、音の商標の著作権との抵触問題です。

あいぴー
音を商標として出願できるらしいな!
うちのお気に入りの曲を商標登録出願しようと思とるんやけど、ふっくん、手続きお願いできるか?
ふっくん
あいぴーのお気に入りの曲って・・・他人の著作物ではないのですか?
あいぴー
そうやで。
ふっくん
著作権のライセンス許諾は・・・もらっているわけありませんよね
あいぴー
何やのそれ?
ふっくん
はぁ・・
それでは勝手に商標登録出願はしないほうがいいですよ
あいぴー
勝手にしたらどうなるん?警察につかまるん?商標登録出願が拒絶されるん?
ふっくん
警察につかまることも商標登録出願が拒絶されることもありませんよ。出願商標が他人の著作物に依拠し、当該著作権と抵触することは、拒絶理由とされていませんからね
あいぴー
ならエエやん♪ 他人に商標を取られる前に出願しといてーな
ふっくん
商標登録出願することはできますし、「他人の著作物であること」は拒絶理由(商標法3条、同4条1項各号)ではないので登録される可能性もありますが、たとえ商標登録されてもその商標は使い物になりませんよ
あいぴー
なんでやの?
ふっくん
商標登録出願の日前に生じた著作権(または著作隣接権)と商標権が抵触するときは、登録商標の使用をすることができないのです(商標法29条)

他人の特許権等との関係

第二十九条  商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。

あいぴー
ん~・・・
でも、商標権を権利行使の材料に使うことはできるんやろ?
だから、その著作権者からライセンスを受けている人とか勝手にその著作物を利用している人に権利行使をして商標使用料をせしめてやろう思とるんやけど
ふっくん
サイテーですね!
あいぴー
社長にサイテーとか言うなや!
チーたん
あいぴー、最低だよ!
あいぴー
チーたんまでっ!
ふっくん
確かに商標権の効力の制限は相対的なものであり、他人の利用に対しては商標法の条文上は禁止権が及びます。
でもね、あいぴーのやろうとしていることは商標ゴロですよ!
あいぴー
法の穴をついたビジネスやん
チーたん
そういうことすると会社もあいぴーも社会的に抹殺されるからやめといたほうがいいよ
ふっくん
ビジネスの基本は関わる人を幸せにすることですからね。
他者の利益も考えて真面目にビジネスをしてください。
まあ、そもそも他人の有名な著作物に依拠(特に有名な著作物の有する顧客吸引力にただ乗り)している場合には商標法4条1項7号に該当して拒絶される可能性が高いですし(ポパイ事件)、仮に商標登録を受けられたとしても、禁止権の範囲も制限されますから(キューピー事件)、あいぴーの考えているような商標ブローカーみたいなことはできませんけどね。
あいぴー
曲が駄目ならイラストで商標登録を受けるわ・・・
ふっくん
それも駄目ですからっ!
有名キャラを勝手に利用した場合には商標法4条1項7号や15号違反になりそもそも商標登録を受けられませんし
あいぴー
ああいえばこう言う・・・
うちはどうしたらエエの?
チーたん
悪いこと考えなければいいの!