著作権の譲渡契約など、口約束だけで成立してしまいますが、後の紛争を回避するためにも書面で契約書を作っておきましょう。また、法律用語は一般用語と違うので、勘違いして自分に不利な契約を結んでしまわないように気を付けましょう。この記事を読んで学んで、”食い物”にされないようにしてください。
うちの書いた小説を出版したいという人がおってな。出版契約なんかせずにすぐに出版してもらってもエエと思っとるんやけど口約束だけで決めてしまってエエのかなと思って。なんか問題あるんかな?
先ほどあいぴーがチーたんからペンを借りていましたけどこれだって、契約ですからね。
特に、法律の知識のないライターさんなどが会社の依頼で執筆した場合に、しっかりとした契約を結んでおかないと後々面倒なことになります。
実際に、契約書をきちんと作らずに著作権を譲渡してしまったり、または自分に不利な契約書なのによく読みもせずにサインをしてしまったために泣きを見た人たちはたくさんいますよ。
契約書にはどんなことを書いたらエエの?
著作権の基礎を読んで学んでください。
それはともかく、あいぴーのためにこんな契約書のひな型を作ってみました。
[著作物利用許諾契約書]
著作物名 あいぴーの憂鬱
著作者名 あいぴー
著作権者名 あいぴー
(あいぴー以下「甲」という)と (奇特奈人 以下「乙」という)とは、上記著作物(以下「本著作物」という)の出版等への利用許諾に関して、次のとおり契約を締結する。
2017年 6月24 日
甲(著作権者)
住 所 大阪府大阪市北区ヒルズ1丁目2番3号
氏 名 あいぴー 印
乙(出 版 者)
住 所 大阪府堺市中央区スカイツリー23階
名 称 奇特出版株式会社
氏 名 奇特奈人 印
第1条(出版物への利用の許諾)
1.甲は乙に対し、本著作物に関して印刷媒体を用いた出版物として複製し、販売すること(以下「出版」という)について独占的利用を許諾する。なお、この利用許諾が有効な地域は日本全域とする。
2.この利用許諾により、この契約の有効期間中、甲は本著作物と明らかに類似すると認められる内容の著作物、および同一題号の著作物の出版に関する利用の許諾を第三者に対して行わず、また自らも行使しない。
第2条(その他の複製等への利用の許諾及び第三者への許諾)
本著作物の以下の利用については、甲は乙に対して、優先的に許諾を与え、その具体的条件は、甲乙別途協議のうえ定める。ただし、乙が自ら利用する意思を表明しない場合の第三者への許諾については、甲はその権利処理を乙に委任し、乙は具体的条件に関して甲と協議の上決定する。
① 電子媒体に記録したパッケージ出版物として複製し、翻案し、販売すること(以下「電子出
版」という)
② 本著作物を電子的に利用し公衆に送信すること
③ 本著作物をデータベースに格納し検索・閲覧に供すること
第3条(著作権の帰属と権利処理の委任)
甲の有する著作権は甲に帰属し、乙に譲渡あるいは移転するものではないことを甲および乙は確認する。ただし、本著作物が以下の方法で利用される場合、甲はその権利処理を乙に委任し、乙は具体的条件に関して甲と協議のうえ決定する。
① 本著作物の複写(複写により生じた複製物の譲渡および公衆送信を含む)
② 本著作物の貸与
③ その他の二次的利用(翻訳・ダイジェスト等、演劇・映画・放送・録音・録画等への利用を
いう)
第4条(内容の保証)
1.甲は乙に対し、本著作物が第三者の著作権、肖像権その他いかなる権利をも侵害せず、かつ、合法的なものであることを保証する。
2.本著作物により権利侵害などの問題を生じ、その結果乙または第三者に対して損害を与えた場合は、甲は、その責任と負担においてこれを処理する。
第5条(著作者人格権の尊重)
乙は、本著作物の内容・表現または書名・題号等に変更を加える必要が生じた場合には、あらかじめ著作者の承諾を必要とする。ただし、甲は乙に対し、電子出版その他電子的に利用するために必要な範囲において本著作物を修正、改変、編集、翻案すること、見出し・キーワード等を付加することを許諾する。その場合、乙は著作者人格権を損なうことのないよう十分注意することとする。
第5条・・・
あ、それから今回は「著作権利用許諾契約」ですから関係ありませんが、もし、著作権を譲渡する契約をする場合には、契約書には必ず収入印紙を貼ってください。
権利譲渡契約は、「無体財産権の譲渡に関する契約書」に該当し課税文書になりますからね。