著作権法が生まれる遥か昔から、著名人の名義で弟子の創作が発表されてきました。

無名の弟子の名前で発表されるよりは脚光を浴びることが出来るので作品にとっては良いことなのかもしれませんが、世人を騙す行為なので、好ましいことではありません。

そのような行為は著作権法では禁止されています。

あいぴー
芸能人の自伝を書いてあげたゴーストライターは、自分が本当の著作権者だと言えるん?芸能人と共同著作になるん?
ふっくん
著作権法では、ゴーストライターは著作者と推定されません(著作権法14条)。

芸能人が著作者であると推定されます。

しかし、あくまでも推定にすぎないので、ゴーストライターが自分が著作者であると主張して推定を覆すことは可能です。

あいぴー
芸能人が話して、それを書き留めた場合はどうなるん?
ふっくん
その場合は、著作権者は芸能人であり、書き留めた人は著作権法的には何の権利も持ちません。

共同著作権者にもなりませんよ。

チーたん
芸能人が、こんなことがあった、とかエピソードを断片的に語って、ゴーストライターがそれを膨らませて本を書き上げたら?
ふっくん
ゴーストライターが著作権者であると主張できます。

もっとも、もとは芸能人名義で公表することに同意しておきながら後から自分が著作権者だと主張すると、裁判上不利な認定がされるでしょうが。
たくさん本が売れたとしても、それはそのゴーストライターの文才のおかげではなく、芸能人の顧客誘引力のためでしょうしね

あいぴー
そもそも、実際には書いていない芸能人を著作者として出版するのはどうなんやろな。
ふっくん
著作権法では、世人を欺く詐欺的な行為を防止するとともに著作名義人の人格的な利益を保護するために、著作者名を偽って著作物の複製物を頒布する行為を処罰することとしています(121条)。

しかし、芸能人の自伝なら世人を欺こうとする反社会的な意図は認められないでしょうから、問題ないでしょう

あいぴー
学生が創作した論文や発明を教授名義で発表するのはどうなん?
ふっくん
それは121条にドンピシャリです。

名誉を得たい教授の気持ちはわかりますが、そんなことは許されることではありません。

後日、自分が正当な発明者であることを主張するために、学生は、研究日誌などを付けて、きちんと補完しておくべきでしょう。

あいぴー
教授が著名な人だったら、制裁を恐れて教授相手に訴訟を起こすのはためらってしまいそうやけどな・・・

チーたん
悲しいけど昔からそういうことって行われているよね。

ふっくん
そうですね。彫刻で有名なロダンは、弟子のカミーユの作品を自己の作品として発表していましたしね。

チーたん
だから、カミーユ・ビダンはおかしくなっちゃうんだね・・・
あいぴー
意味わからんから(-_-)