数十年前の映画やイラスト・写真・文章などを利用したいと考える場合があるでしょう。
しかし、その場合著作者が既に亡くなっていたり、遺族もどこにいるのかわからないために、著作物等の利用ができない可能性があります。
そんなときに著作権侵害を恐れて出版などを諦めてしまうという手もありますが、適法な方法で利用することができる制度があります。
チーたん
昔の漫画雑誌に魅力的なイラストがたくさん載っていたんだけど、著作権者がわからないんだ。昔といっても何百年も前じゃなくて80年くらい前だから勝手に使うにはまだ著作権が残っていそうで怖いなあ。
あいぴー
うちも似たような悩みがあんねん。
昔の放送をインターネット配信したいんやけど、著作権者がわかれへんねん。
こういうときは、勝手に使ってええんやろか?
昔の放送をインターネット配信したいんやけど、著作権者がわかれへんねん。
こういうときは、勝手に使ってええんやろか?
ふっくん
いけませんよ。
インターネット検索や名簿や名鑑の閲覧をするなどして著作権者を探し出さなければいけません。
インターネット検索や名簿や名鑑の閲覧をするなどして著作権者を探し出さなければいけません。
チーたん
それでも見つからなかったら?
ふっくん
権利者情報を持っていると思われる人に尋ねることも大切です。
著作権等管理事業者や関連する著作権団体への照会が必要です。
著作権等管理事業者や関連する著作権団体への照会が必要です。
あいぴー
それでも著作権者がわかれへんかったら、ええかげん使ってええやろ?
ふっくん
勝手に使うことはしないで「裁定制度」を利用してください。
チーたん
裁定?
ふっくん
あいぴーやチーたんたちが困っているように、権利者不明の著作物等を利用しようと思っても許諾を得ることができない場合があります。
このような場合に、権利者から許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料に相当する額の「補償金」を供託することにより適法に利用することをできるようにするのが裁定制度です。
このような場合に、権利者から許諾を得る代わりに文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料に相当する額の「補償金」を供託することにより適法に利用することをできるようにするのが裁定制度です。
著作権者不明等の場合における著作物の利用
第六十七条 公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合として政令で定める場合は、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。
2 前項の裁定を受けようとする者は、著作物の利用方法その他政令で定める事項を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他政令で定める資料を添えて、これを文化庁長官に提出しなければならない。
3 第一項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の裁定に係る複製物である旨及びその裁定のあつた年月日を表示しなければならない。
あいぴー
文化庁長官にお金を払いさえすればええんやな?
ふっくん
そういうわけじゃないんです。
まず、絶対的な条件として「公表された」著作物の利用でなくてはなりません。
未公開のものを公表するのは著作者だけに認められた権利ですからね。
まず、絶対的な条件として「公表された」著作物の利用でなくてはなりません。
未公開のものを公表するのは著作者だけに認められた権利ですからね。
また、権利者によって公表されているかどうかは不明であっても相当期間にわたり公衆に提供されている事実が明らかである著作物等(たとえば童謡など)も該当します。
チーたん
手続きはどうすればいいの?
ふっくん
文化庁に手続きをとる前に「相当な努力」をして権利者を探し出さなければいけません。
相当な努力とは上記したようにインターネットや名簿・名鑑での検索、著作権管理団体への連絡などといったことに加え、「公衆に対する権利者情報の提供の呼びかけ」や「日刊新聞への広告の掲載」または「著作権情報センターのウェブサイトへの広告」なども必要です。
相当な努力とは上記したようにインターネットや名簿・名鑑での検索、著作権管理団体への連絡などといったことに加え、「公衆に対する権利者情報の提供の呼びかけ」や「日刊新聞への広告の掲載」または「著作権情報センターのウェブサイトへの広告」なども必要です。
あいぴー
著作権情報センター?
ふっくん
公益社団法人著作権情報センター(CRIC)では、他人の著作物や実演、放送番組などを利用するために、「著作権者」や「著作隣接権者」を捜す人のために、1申請につき8400円で広告スペースを提供しています。
あいぴー
手間もお金もかかるから、本当に「相当な努力」やな~(--;
ふっくん
以上のような「相当な努力」をすれば、晴れて文化庁に裁定申請を行うことができます。そして文化庁長官の定める担保金を供託すれば、最低の決定前であっても著作物等の利用が開始できます。
あいぴー
めんどいな~
ふっくん
面倒ですよね(^^;
ですから昔はほとんど使われていませんでした。
でも最近ではわずかですがこの制度を利用する人も増えてきたようですよ。
ですから昔はほとんど使われていませんでした。
でも最近ではわずかですがこの制度を利用する人も増えてきたようですよ。
チーたん
文化の発展のためにも、もっと簡単に利用できたらいいのに・・・。
ふっくん
平成28年2月にちょっとだけ利用しやすく改正されました。
以前は権利者不明の著作物等を利用する場合には、たとえ「過去に裁定を受けたもの」であっても、もう一度「相当の努力」を一からしなくてはいけなかったのですが、①名簿・名鑑の閲覧やインターネット検索に代えて、「文化庁のデータベースの閲覧」で済むようになりました。
また②著作権等管理事業者への照会や関連する著作権団体への照会に代えて「文化庁データベースの閲覧」で済ませることもできます。
以前は権利者不明の著作物等を利用する場合には、たとえ「過去に裁定を受けたもの」であっても、もう一度「相当の努力」を一からしなくてはいけなかったのですが、①名簿・名鑑の閲覧やインターネット検索に代えて、「文化庁のデータベースの閲覧」で済むようになりました。
また②著作権等管理事業者への照会や関連する著作権団体への照会に代えて「文化庁データベースの閲覧」で済ませることもできます。
チーたん
・・・それって、まだ20万件程度なんでしょ?データベースに載っていない作品については「相当の努力」をしなくちゃいけないんだよね。
お金も時間もかかるから大変だな~
お金も時間もかかるから大変だな~
あいぴー
裁定なんか最低や
チーたん
言うと思った!(笑)