特許を取得するためには、特許庁へ支払う費用と、出願の代理人である弁理士に支払う費用がかかってきます。
特に高額なのが、特許庁へ支払う「審査請求手数料」です。
出願費用は安いので気楽にできますが、審査請求をするのはためらってしまいます。
まず、出願費用14000円がかかります。(2018年3月現在。)
次に、特許庁の審査官に審査をしてもらうときに支払う費用があります。この審査請求料が高額なんです。
118000円に請求項1個ごとに4000円が加算されます。
ただし、優先権(特許法40条)や出願公開(特許法64条)との関係上、出願日から一年以内には審査請求(特許法48条の3)をするのか特許取得を諦めて出願を取り下げるのか決めたほうがいいでしょう。
なお、審査請求料は、一定の場合には減額されますよ。
小規模の個人事業主(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))や事業開始後10年未満の個人事業主、
小規模企業(法人)(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
設立後10年未満で資本金3億円以下の法人
なら審査請求料は 1/3に軽減されます。事業をしていない個人では無理ですよ。
個人が審査請求手数料の減額や免除を受けられるのは生活保護受給者、地方税非課税、所得税非課税の人に限られます(特許法195条の2)。ですから、サラリーマンが副業として発明している場合には減免されません。一方、学生などはこの規定の適用を受けられます。
さて、審査請求をして審査官が拒絶理由を発見したら拒絶理由通知が来ます(特許法50条)。
これに対して反論手続きをするときに意見書や補正書を提出するのですが、この書面の作成を弁理士に依頼するときに弁理士費用がかかります。
下手に自分で書いてしまうと、弱い権利しか取れず、登録するだけ無駄になってしまいます。ですから特許出願するからには強力な権利を取る、と覚悟してください。
役に立たない休眠特許を抱えて高額な特許維持費を払い続けるなんて馬鹿らしいですよ。
そんな「使えない」特許は維持費が勿体ないので捨ててしまった方がいいですし、捨てるくらいなら最初から取らなければいいのです。
大けがをしたときは、お医者さんに外科手術をお願いするでしょう?いくら信頼している両親でも医師免許のない人に自分の手術はしてほしくないでしょう?
これと同じで、どんなに仲の良い人でも素人に明細書の作成や補正書の作成を頼むのは危険です。
プロに任せた方が良いでしょう。
もちろんお医者さんならだれでも手術がうまいわけではないのと同様に、明細書のかき方が上手い弁理士もいれば下手な弁理士もいます。
ですから、できるだけ良い明細書を書く弁理士にお願いしたほうがいいですね。
特許は取ることに意味があるのではなく、活用してこそ生きてくるのです。
自分で出来ることは自分でして費用を浮かせるべきですが、重要なことに関してはケチらないでください。素晴らしい発明であるほど勿体無いです。
弱い権利しかもらえないのに、発明は全世界に公開されてしまうのですよ?
そんなことをするくらいなら、優れた技術は自社だけの秘密にしておいてほしいです。
日本の発明は全世界から注目されていて日々合法的に盗まれているのですから!
さて、特許取得にかかる費用はこの他にも、拒絶査定が来た時に支払う費用や特許が登録されるときに支払う費用もあります。
この特許登録料も減免または猶予されることがあります(特許法109条、特許法107条3項)。
維持費も払い続けなければいけません。
ですから、全世界で特許権を取得しようとすると、数百万円かかってしまうのです
特許法 第107条
特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第67条第1項に規定する存続期間(同条第2項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。
各年の区分 金額
第1年から第3年まで 毎年2,100円に一請求項につき100円を加えた額
第4年から第6年まで 毎年6,400円に一請求項につき500円を加えた額
第7年から第9年まで 毎年19300円に一請求項につき1500円を加えた額
第10年から第25年まで 毎年55400円に一請求項につき4,300円を加えた額3 第1項の特許料は、特許権が国又は第109条の規定若しくは他の法令の規定による特許料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第1項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する特許料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。
特許料の納付期限
特許法 第108条 前条第1項の規定による第1年から第3年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から30日以内に一時に納付しなければならない。
2 前条第1項の規定による第4年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。ただし、特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日(以下この項において「謄本送達日」という。)がその延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の末日から起算して前30日目に当たる日以後であるときは、その年の次の年から謄本送達日の属する年(謄本送達日から謄本送達日の属する年の末日までの日数が30日に満たないときは、謄本送達日の属する年の次の年)までの各年分の特許料は、謄本送達日から30日以内に一時に納付しなければならない。
3 特許庁長官は、特許料を納付すべき者の請求により、30日以内を限り、第1項に規定する期間を延長することができる。
4 特許料を納付する者がその責めに帰することができない理由により第1項に規定する期間内にその特許料を納付することができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその特許料を納付することができる。
特許料の減免又は猶予
特許法 第109条 特許庁長官は、特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者であつて資力を考慮して政令で定める要件に該当する者が、特許料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、第107条第1項の規定による第1年から第10年までの各年分の特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。
特許出願は非常に専門的ですので、時間とお金の節約のためにも専門家の力を借りることをお勧めします。
慣れない最初のうちは弁理士にお願いして社内の発明者はその弁理士の明細書のテクニックを盗むのです。
そして、いくつも出願を続ければいずれ自分で出願出来るようになります。
そうすれば強い権利を安く取得することができます。
もちろん、腕の良い弁理士にずっと出願を依頼するのも戦略の一つですよ。
優れた発明者ほど、明細書を書く事などに時間を割くのは勿体無いですから。
ぜひ、「強い」事業に役立つ権利を取ってください。
いつでも優秀な弁理士を紹介しますよ。