PCTについて学ぶときに、国内法や他の条約と制度の理解がごちゃ混ぜになってしまうことがあります。一つずつ学んでから最後に比較して学ぶとわかりやすいでしょう。
じゃあ、特許の保護を求めない外国については最初からチェックを入れてしまおうかなと思っているのだけど・・・。
あと、最初に日本ではなくて外国で特許出願した場合には、日本を指定しなくてもいいかな~と・・・
ですから、PCTを利用するとすべての締約国が自動的に指定されてしまうわけです。
ただし、例外的に国内優先権制度のようなものがある国(日本、ドイツ、韓国、ロシア)においては、願書において当該国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張するすべての願書は当該国を指定しない旨の表示をすることができます(PCT規則4.9(b))
PCT規則4.9 国の指定、保護の種類、国内及び広域特許
(a) 願書の提出は、次の事項を構成する。
(ⅰ) 国際出願日に条約に拘束される全ての締約国の指定
(ⅱ) 第四十三条又は第四十四条が適用される指定国において、その国を指定することによつて得られる全ての種類の保護を求める旨の表示
(ⅲ) 第四十五条(1)が適用される指定国において広域特許を求める旨及び、第四十五条(2)が適用される場合を除き、国内特許を求める旨の表示
(b) (a)(ⅰ)の規定にかかわらず、二千五年十月五日において、締約国の国内法令が、当該国の指定及び当該国で効力を有する先の国内出願に基づく優先権の主張を伴う国際出願により、当該先の国内出願が取下げと同一の効果をもって消滅することを定めている場合には、当該指定官庁が当該国の指定に関してこの規定が適用される旨を二千六年一月五日までに国際事務局に通告すること及びその通告が当該国際出願日になお効力を有することを条件として、当該国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張する全ての願書は当該国を指定しない旨の表示を伴うことができる。国際事務局は、その通告を速やかに公報に掲載する。
先の国内出願をしてから優先権の主張を伴って同じ日本に出願するということはその日本出願については「国内優先権」と考えられるからです。
ということは、第一国出願が外国の場合は日本を指定しないということは、ありえません。
条約は似ているようで違う部分もたくさんあるので気を付けてくださいね。
PCTで日本を指定して国内優先とした場合には、審査請求期間や特許期間の延長(PCT出願日から起算されるため)というメリットがありますが、代理人手数料が多くかかってきます。
ここら辺については別のところでお話するので、とりあえず、今は、「日本に第一国出願した場合にしか日本を指定国から除外することはできない」と覚えておいてください。