商標法において、分割出願の時期的要件と補正の時期的要件を言えますか?
また、特許法との各制度の違いがわかりますか?
今回は平成18年度商標法論文試験に出題された判例が題材です。
どうしてよいかわからなくておろおろしていたらいつの間にか拒絶査定がされちゃったから、いちおう拒絶査定不服審判を請求したのだけど、拒絶審決されちゃった。
商標「あいぴー」指定商品「化粧品」についてはダメかもしれないけれど、指定商品「マグカップ」では商標を取れると思うからぜひ取りたいんだ。どうしたらいいかな?
商標登録出願の分割
第十条 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。
具体的には商標「あいぴー」指定商品「化粧品、マグカップ」のうち指定商品「化粧品」について削除補正したいのだけど
手続の補正
第六十八条の四十 商標登録出願、防護標章登録出願、請求その他商標登録又は防護標章登録に関する手続をした者は、事件が審査、登録異議の申立てについての審理、審判又は再審に係属している場合に限り、その補正をすることができる。
10条に規定されている通り、拒絶審決取消訴訟が継続している場合、分割出願は可能です。しかし、商標法上の補正はできません(商標法68条の40)。
確かに商標法施行規則22条4項で読み替えて準用する特許法施行規則30条によれば、分割出願と同時に親出願の願書を補正することが認められているようにも解釈できます。
しかし、拒絶審決に対する訴えが裁判所に継続している場合にも補正の効果が商標登録出願の時に遡って生ずるとすると、商標法68条の40が、事件が審査、異議の申し立て、審判又は最新に係属している場合以外には補正を認めず、補正ができる時期を制限している趣旨に反することになります(イー・アクセス事件)。
拒絶理由がない指定商品等(この場合においては商標「あいぴー」指定商品「マグカップ」)については、新たな商標登録出願をすれば全体が拒絶されるという不利益を逃れることはできますから、商標登録出願人の利益が害されることはありませんからね。
これからは気を付けます。