最近オープンイノベーションという言葉をよく聞くようになりました。

このオープンイノベーションとはどういったものなのでしょう。

研究開発段階でのオープンイノベーションもあれば、取得した特許権の開放というオープンイノベーションもあるようです。

チーたん
最近よく、オープンイノベーションって聞くけど、オープンイノベーションって何?

ふっくん
以前、「イノベーションと知的財産」は相反するものだという話はしましたよね。

その考え方にイノベーションを起こしてしまったのがオープンイノベーションです。


ふっくん
他人に使わせないように、自社の事業が有利になるように参入障壁として取得したはずの特許を開放して、誰でもその特許を利用できるようにします。

また、研究開発段階では、積極的に一般の人々のアイデアを取り入れていきます。

チーたん
せっかくお金を払って取得した知財を人に使わせちゃうんじゃ知財の意味がなくなっちゃうんじゃないの?
ふっくん
だからイノベーションなんです。
チーたん
それに、知財を自社で生み出すんじゃなくて、外部の人の力に頼るってこと?
ふっくん
そのとおり!

一人の天才よりも100人の凡人の方が優れたアイデアを生み出せるんですよ。

チーたん
外部の人にぼくの発明より優れた発明をされたらプライドが傷ついちゃう・・・
ふっくん
そうですね(笑)

研究開発部員としては面白くないですよね。

あいぴー
会社のためや!我慢しいや!
チーたん
社員の心のケアも経営者の仕事でしょ。僕を癒して(T-T)
ふっくん
まあまあ、気にしないで話を先に進めましょうよ。
チーたん
何言ってんの(;゚Д゚)! いつもは人材が大切って言ってるくせにっ
あいぴー
チーたんのことを評価しているから言ってるんやろ。わかりーや
ふっくん
そうですよ。 素人にできるような発明はチーたんはしないでしょうし、チーたんがするような発明はチーたんレベルの発明家がしますよ。

そんな優れた発明家を知ることができ、競い合えるなんて素晴らしいじゃないですか

チーたん
そんなもんかな・・
ふっくん
そうですそうです。
ふっくん
さて、オープンの逆は、クローズド、つまり閉じているってことですよね。

クローズドは自社内部だけで研究開発をして特許を取ったり、自社だけが独占して特許を使い、他社に使わせない方策です。

ふっくん
かつてはクローズドが普通でした。 特許権=独占排他権というイメージがありますよね。

しかし、技術の急激な発展・複雑化により、自社内だけで研究開発を行うことの限界が見えてきました。

ふっくん
そこで、秘密にしていた知財をオープンにし、外部の知を取り入れるための取り組みが始まりました。

これが、オープンイノベーションです。 知財を誰でも使えるように開放すると、多くの人がその知財を利用することから、イノベーションがおきやすくなります。

ふっくん
SNSではかつてのマイスペースがクローズで、フェイスブックがオープンです。 どちらの戦略が良かったかを説明する必要はないでしょう。
ふっくん
アップルもiPhoneアプリをオープンにしています。

2007年に発売されたばかりの頃、AppleがアピールしたのはiPhoneの通話やEメールやウェブのような主要機能でした。

しかし、翌年にはアプリケーションの豊富さをアピールし始めました。

ふっくん
これらのアプリを開発したのはアップルの社員ではありません。外部の人間です。アップルはアプリの開発者がiPhoneで開発しやすいように万全の体制を整えました。

コミュニティを作り、アプリ開発者たちの声を聞きました。 アップル社員の実に3倍以上の人間がアプリ開発に携わりました。

ふっくん
このように、オープンにすれば他社が参入してくるので、市場が一気に活性化します。
チーたん
あ、今年の始め(2015年1月)にトヨタがFCV関連の特許を無償開放したけど、これもオープンイノベーションかな?
ふっくん
そうです。2020年までの期間限定ですが誰でもその特許を使えるようにして、技術の普及を図っているのです。

それに先立って、テスラモーターズが特許の開放を行っていますがね

チーたん
なんでお金をかけてせっかく取った特許をただで使わせてあげちゃうの?
ふっくん
それはもちろん、トヨタは大企業で、はした特許取得費なんて痛くも痒くもないから・・・というのは冗談で、これは知財戦略の一つなんですよ
チーたん
太っ腹なところを見せてイメージアップ!?
ふっくん
そうきましたかっ!(笑) 5年間の期間限定で無償実施をさせているだけですよ。 デファクトスタンダード(標準化)を狙っているんです。

5年たったら特許使用料を支払わなければいけなくなるので、どれだけの人が使ってくれるかわかりませんが。

ふっくん
トヨタはFCVの発明については車の会社だけあって独走状態ですが、FCVの普及はまだまだ。

トヨタ自身も製造できるFCVの台数は数百から多くても数千台といったところです。

これだけでは水素ステーション(FCVに燃料を供給する場所)を設置する最小値にも足りません。

だから、ほかの会社にもFCV製造をしてほしいんです。

チーたん
競争が産業を育むっていつもいっているもんね。
ふっくん
ええ。適度な競争は必要です。 ただ、この戦略に欧州など外国の企業が参戦してくれるかどうか未知数なんです。プライドもありますしね。日本の会社なんかに主導権を握られてたまるかと
チーたん
外国の会社がFCVを作らなかったら日本は車でもガラパゴス化してしまうんじゃない?
ふっくん
その可能性はありますね。トヨタの特許よりテスラの特許の方が魅力的かもしれませんしね
あいぴー
エコやしな。トヨタに頑張って欲しいけど、テスラも魅力的やなぁ
チーたん
オープン戦略って難しいんだね
ふっくん
オープン戦略だけに限らず、知財戦略は難しいですよ。
ふっくん
ただ、ある程度の”型”はあります。
ふっくん
それを私がお教えしています。これらの型を活用すれば、事業が相当有利になりますよ。日本では知財を使いこなしている会社の数はそれほどありませんから
あいぴー
早いうちにふっくんにコンサルを頼んどいて良かったわ
チーたん
いくらコンサルが優秀でも経営者も頑張らなきゃダメでしょ! うちの会社も知財経営をしなくちゃね。 オープンイノベーションで成功している企業はある?
ふっくん
最初にあげたフェイスブックやアップルが良い例ですね。

それからIBMも上手いですよ。 オープンソースソフトウェアを御存知でしょう。オープンソースソフトウェア(OSS)はコピーレフトと呼ばれるように、権利を独占するのではなく、誰でも使えるようにしてその技術等の爆発的な発展を期待しています。 でも、ただ単に開放しているだけでは収益化は望めません。

チーたん
課金ポイントが必要だね
ふっくん
そうです。 IBMは、自社が提供するシステムの一部のソフトウエアにはOSSを利用し、組み合わせて提供されるソフトウエアには独自のソフトウエアを用いることで収益化しています。
チーたん
なるほどね。うちみたいな小さな会社でもオープンイノベーションを活用できる?
ふっくん
もちろんです! たとえば、チーたんが最近発明したチーたんXがありますよね。この用途発明をオープンにするのです。会社外部の人に用途発明をしてもらってもかまいません。 そして、チーたんXの販売で稼ぎます。
あいぴー
めっちゃ稼げるんやないの?!
チーたん
あ、あいぴーの目が光った(笑)
あいぴー
早速うちの会社もオープンイノベーションや!
ふっくん
一歩間違えると技術の無償提供になって撃沈してしまうので慎重に行ってくださいね。

かつてインスタントラーメンを発明した会社は、インスタントラーメンの製法をオープンにしたために、市場は活性化しましたが、自社はつぶれかけましたから

チーたん
あいぴーが戦略を練ると失敗しそうだから、ふっくんとぼくで戦略を練ろうね(笑)
あいぴー
そこ!クローズせんといてっ!