映画やドラマのリメイク作品って最近よく見かけますよね。今回はテレビ番組のリメイク権である「フォーマット権」についてご説明いたします。

あいぴー
アメリカに出張しているときに「料理の鉄人」にそっくりな番組がやってるのを見たで
チーたん
知ってる!「アイアン・シェフ」でしょ。ぼくはオーストラリアで見たよ。あとねー、ベトナムではベトナム版「あいのり」を見たよ
あいぴー
あれって、日本の番組のパクリやろ?
チーたん
フジテレビから許可を貰っているんじゃないの?
ふっくん
その通り。アメリカではフジテレビの監修の下にアイアン・シェフ・アメリカが作られています。いわゆる「フォーマット権」を販売したという形ですね。
「あいのり」も同じですよ。
チーたん
フォーマット権?それって知的財産権?
ふっくん
フォーマット権というのは、最初に制作された番組の設定を利用して同様の番組を制作・放送する権利ですよ。リメイク権と呼ばれることもあります。知的財産権のライセンスの一種ですね。知的財産権のライセンスには他にもいろいろありますよ
チーたん
以前、アイデアに著作権はないって言っていたよね?
だから、番組のアイデアというかコンセプトを真似して番組を作ったって問題無いんじゃないの?
ふっくん
実はそうなんですよ。
ただ、法律はともかく、視聴者など、見た人が「パクリだ」と思うのは番組にとってマイナスですよね。
チーたん
確かに。アイアンシェフでは、監修・フジテレビってなっていたから「ああ、公式のお墨付きなんだ」と思えたけど、そうでない場合は悪いイメージを持っちゃうな
ふっくん
それだけではなく、フォーマット権を買うのは他にもメリットがあるんですよ。
たとえば、フォーマット権を買うと、脚本や資料、演出方法だけでなく、音楽や映像、小道具大道具等まで利用させてくれる場合があります。

すると、ゼロから番組を作るよりも、相当支出を控えることができるのです。

チーたん
たしかに、凝った映像を創るのは大変だけど、使い回しの効くものなんていっぱいありそうだもんね。
ふっくん
それに、「ここでタレントにこうさせると視聴率が上がる」とか「こうすると笑いがとれる」といったノウハウを貰えれば、試行錯誤することなく簡単に人気番組を作ることが出来ます。

SASUKEの大道具の安全な作り方といったノウハウも魅力的ですよね

チーたん
以前ふっくんに教えてもらったよ。
ノウハウは知的財産権だよね!
ふっくん
その通り!
フォーマット権で販売しているのはこのノウハウという知的財産権とそれに付随するものです。必ずしも発明や著作物、商標ばかりが知的財産権ではありませんよ。
チーたん
ということは、番組のアイデアをただ真似するだけなら知的財産権上何の問題もないけれど、テレビ局の関係者が他局へノウハウを漏らしたりすると知的財産権の侵害になっちゃうから危険だね
ふっくん
そうです。営業秘密として守られているノウハウをテレビ局で働いている人が海外企業に転職してこのノウハウを使ったりすると日本の法律で罰せられますよ
チーたん
最近営業秘密の保護は厳しくなったしね(^^;
ふっくん
ちなみに、フォーマット権を販売するテレビ局は、販売前に相手先の国で番組名やロゴを商標登録しておくのが通常です。この際、他者によって既に商標が登録されていた場合は*取消審判を請求するなどして不正な商標登録を取り消しておくことが重要です。

また、現地の言語での番組名も商標登録しておきます。

*日本の取消審判についてはこちら

あいぴー
番組のアイデアを特許で固めれば完璧やん
ふっくん
う〜ん、気持ちはわかりますが、番組のアイデアや企画で特許がとれることなんて無いでしょうね。
特許を取りたいのなら、番組のアイデアではなく、たとえば、舞台装置などで特許をとるようにすれば良いでしょう。
なお、大道具などは、美術の著作物として保護されます。
チーたん
なるほどね。
日本には他にも面白い番組があるから、その番組のフォーマット権を販売すれば、テレビ局は潤うんじゃないかな。
ぼくとしては、はじめてのおつかいなんか人気出ると思うけど
あいぴー
あれは、治安の良い日本だからできる番組やろ

海外で幼児だけでお使いしていたら拐われるで

チーたん
番組のローカライズって難しそうだね(^^;