革新的な商品、人気のある商品は、誰もがその商品名を使うので有名になりやすい反面、「普通名称化」の危険性を秘めています。
商標法3条1項1号で「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は登録されない。と規定されています。
普通名称を一個人に専有させては公益を害するからです。
商標が後から普通名称になってしまった場合は商標登録の無効理由(46条)とはなっていませんが、商標権の効力が制限されてしまう(26条)ので、注意が必要です。
たとえば、エスカレータやセロファンやういろうなどがあります。
アニメ「アンパンマン」にういろうマンとして登場するほどポピュラーな食べ物になっています(福田調べ。アンパンマンのDVDを見ていたら出てきました)。
特許庁に出願しても普通名称は登録されませんし、たとえ過去に登録されていても、普通名称化した商標を他人が使っても商標権の力は及びません。
たとえば、介護という言葉があるでしょう。これ、登録商標なんですよ
まず、商標の場合は、”普通名称”は登録されないということは勉強しましたよね?
しかし、時代が進み、誰もがその商標を使っていると、その言葉は普通名称になってしまいます。
すると、どうなるか。
登録料を払って登録しておく意味がなくなってしまうのです。
普通名称化してしまった商標権に基づいて権利行使をしても、有効な権利行使とは認められません。
これが、特許権だとどうでしょう。
特許権の場合は、無償で使わせてあげることもできますが、権利の保護されている期間内(出願時から20年間)ならば勝手に実施する者に権利行使をすることができます。
年金(特許維持料)を支払い続けているかぎり、特許権は存続し、商標のように事後的に普通名称化するようなことはありません。
たとえば、歌手が「赤いクレパス握りしめ~」なんて歌っていたら、「歌詞の中に”クレパス”を使わないでくれ」と主張すべきでしょう。
また、コンビニのおにぎりの具材の表示として”海ばふん(馬糞ウニの商品名として)”と表示されるときは、必ず「海ばふん」の横にTMやRと付してもらうようにしましょう。
その言葉を有名にしたいだけ、その言葉の生みの親として名前を残したいだけ、という場合には別ですが、それならわざわざ商標を取る必要はないのです