地理的表示の保護は、TPPの加盟条件の一つです。日本では平成26年にGI制度を新設したことによりこの要件を満たすことになりました。
従来から存在する「地域団体商標制度」と比較しながら学びましょう。
お祝いに高級料亭で松坂牛でも食べよか
ちゃんと商標登録して松坂牛味のお菓子を販売すんねん。
登録を受けたい場合は、農林水産省へ申請します。
「地理的表示保護制度」は、地域ブランドを守るために平成26年に新設された制度です。
地域団体商標と比べて説明いたしましょう。
「地理的表示」は、農林水産物や食品の名称であって、「松坂(地名)牛」のように、その名称から産地がわかり、品質等がその産地と結びついていることが特定できるものに付されるものです。
地理的表示保護制度は、この「地理的表示」を知的財産として保護することによって、産品の信用を守り、生産者と消費者の利益を保護することを目的としています。
まず、地域ブランドとしての保護が図られるという点は同じですよね。でも、守られ方が違います。地域団体商標の場合は「権利」として保護が図られるので、不正使用に対しては自力で差し止め請求や損害賠償請求訴訟を起こさねばならないのに対し、地理的表示の場合は行政が取り締まりを行ってくれます。
また、地理的表示の場合は、登録を受けることができるのは、農水産物(食用の農産物と一部の非食用の農水産物)に限られます。
農水産物に限らず登録を受けられる地域団体商標とは違いますね。
地理的表示を付けることができるのは誰なの?
複数で共同申請する場合にも9万円かかりますから、なるべく一度に皆で共同申請した方が金銭的に負担が少ないでしょう。
また、地域団体商標の場合には当該地域で生産されていれば足りるのに対し、地理的表示の場合にはその産品が生産地と結び付いた品質等の特性を有していることが必要です。
たとえば、松坂牛は松坂以外の地域で生産されている場合であっても、歴史的な経緯等を踏まえ、 「松阪牛」の特性との結び付きが認められれば、生産地に含めることが可能です。
原材料の生産地が加工地と異なる場合は、当該加工品の品質等の特性と生産地(=加工地)の結び付きを生産方法等により明らかにしていくことは必要ですが。
なお、申請に当たって定めた新しい名称は、産品の特性を特定できないため、登録要件を満たしません
すなわち、地理的表示として登録されると地域共有の財産となるため独占使用ができなくなります。したがって、地理的表示の正当な使用に対して商標権の効力は及びません。
ただ、既に述べたように、GI制度を利用する場合の代理人費用はかなり高額になると思われます。したがって、こうした無料で手に入れられる情報を見て、GIを登録するだけの要件が揃っていて、地域の生産者みんなでとろう!という気持ちになったときに一丸となって権利取得を図った方が良いでしょう。
地理的表示の登録を受ける前から引き続き不正の目的(例えば、ある農林水産物等が登録の申請を行っていることを知り、その生産者団体に対して、財産上の損害を加えることや、先使用による地理的表示の使用をやめる見返りとして高額の金銭を要求することを目的として、その農林水産物等の地理的表示を使用すること)なく、その名称を使用してきた場
合は、地理的表示が登録された後でも引き続き名称を使用できることとなっていますから。
ちなみに、夕張メロンの場合は、品種名は「夕張キングメロン」といいます。
とりあえず今日はもう松坂牛を食べに行きましょうよ。