弁護士でない者が反復継続の意思を持って、弁護士業務を報酬を得る目的で行うことを非弁行為といい、非弁行為を行った者は、弁護士法77条違反で刑事罰を受けることになります。
これと同じように、弁理士の世界にも非弁行為というものが存在します。

チーたん
行政書士が弁理士法違反で逮捕っていうニュースを見かけたよ。この人何をしたのかな?

ふっくん
弁理士資格を有さないのに商標登録出願の代理をしたようですね。
いわゆる非弁行為です。

チーたん
非弁行為?
それって、弁護士じゃない人が弁護士業務を行うことじゃなかったっけ?

ふっくん
弁理士の場合にも使いますよ。
たとえば、特許出願や商標登録出願の代理をすること等は弁理士と特許業務法人だけに許された業務ですから、非弁理士がそれらの業務を行うと弁理士法75条に違反することになります。

弁理士又は特許業務法人でない者の業務の制限

第七十五条  弁理士又は特許業務法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続若しくは特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する行政不服審査法 の規定による審査請求若しくは裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理(特許料の納付手続についての代理、特許原簿への登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成を業とすることができない。

第七十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  略
二  略
三  第七十五条の規定に違反した者

あいぴー
なんで弁理士資格を有しない人による出願代理があかんのやろ。過去に特許事務所で働いていて実務経験がある人なら商標登録出願くらい自分ひとりでできるやろ。簡単そうやし

ふっくん
簡単?本当に簡単でしょうか。
表面的には簡単に見えるかもしれませんが、奥が深いものですよ。
なのに法律を学んでいない非弁理士が形だけ真似して代理をしたら質の悪い出願をすることになります。
すると、出願を依頼した人に迷惑がかかってしまいますよね。

チーたん
そうだね。いくら安いからといって非弁理士に出願を依頼してしまうと、結局後になって補正もできなくなって大きな損失になってしまう可能性があるもんね。

あいぴー
ところで、弁理士資格を持っていない人が友達のために代わりに出願をしてあげる行為はどうなん?

ふっくん
報酬を得ていないのなら弁理士法75条違反にはなりませんよ。
ただし、何らかの形で報酬を得ているようなら弁理士法違反になります。

チーたん
一回きりでも?

ふっくん
継続して行っていない場合は大丈夫でしょうが、これに関しては裁判所で判断されることですのでたとえ一回きりでも反復継続の意思ありと認定されてしまうことがあるでしょうね。