オープンイノベーションの一環として、会社の外部の人と共同で発明をする機会も増えています。

特に、特許のような最先端技術を扱う分野では、大学との共同発明が有効です。

会社外部の他社と協力し、新たな知財を生み出してください。

もちろん外部の人と発明するときには注意しなければいけないこともあります。

チーたん
今、研究中の技術について、限界を感じているんだ。優秀な外部の人の力を借りたいな。

ふっくん
大学の先生の協力を仰いでみてはいかがですか?

チーたん
協力してくれるかな?

ふっくん
面白い研究なら興味を持ってくれるかもしれませんよ。
ただ、その発明を自分では実施しない大学との共同発明は、特許取得後に”不実施補償特約”を結ばされる可能性がありますね

ふっくん
また、先生によっては、特許と聞くと「独占排他権のイメージが強いためか、「お金儲けのために自分の研究を利用するなんて
・・・と嫌悪感を示す人もいるかもしれません。

しかし、独占的なのは特許の一面でしかありません。

特許は独占実施してもいいのですが、安価に又は無料でライセンスしたり、保有者の自由にすることができます。

むしろ、私は中小企業や大学は特許権を安価でライセンスしたほうが結局は良いのではないかと思っています。


 

ふっくん
特許取得がなされなかったために関連技術の発展が遅れた例として、フレミングにより発見されたペニシリンがあります。
フレミングは人々のために、と思い特許をとらなかったのですが、お金に結び付かないことには他の会社も触手を伸ばさず、ペニシリン関連の発明は10年以上もずっと放置されたままでした。

 企業は権利関係のはっきりしない技術に関してはお金を出すのをためらいます。

しかし、きちんと特許化されていればフレミングの望んだように”社会に役立つ”技術を多くの人が利用することができたのです。


チーたん
論文を調べて、ぼくの研究中の分野と同じような研究をしている先生に問い合わせてみるよ!

ふっくん
ぜひそうしてください。

優れた発明が生まれれば、大学のブランド力もあがりますし、協力してくれる先生も多いと思いますよ。


 
ふっくん
ちなみに、一般的に論文は研究者の著作物と解されています。

論文の著作権の帰属は研究者なのに、研究成果に関する特許権の帰属は大学と異なっています。そのため大学内部でトラブルが起こる可能性もあります。

 また、チーたんと共同で研究を進めていたのに、特許出願前に大学の先生が論文を発表してしまうと最悪特許を出願しても登録されない可能性もあります。

 したがって、共同研究を始めるまえに、しっかり契約を交わせておいてください。

口頭での約束なんてだめですよ。専門家を交えて契約書を作るくらいでないと後に訴訟に発展する可能性もありますから。


チーたん
わかった。気をつけるよ。後で弁護士を紹介してね

ふっくん
了解しました。

大学の先生と共同で研究をしていると、大学と交流が深まり、大学院生たちを紹介してくれるかもしれませんよ。同じ技術分野に明るい人材が会社に来てくれると心強いですよね。

ふっくん
そうそう、共同研究をするのではなく、既に権利化された発明を探したい場合もありますよね。

多くの大学が研究内容のデータベースをWEB上に公開していますが、企業側から必要な技術について検索するのは難しいと思います。

ですから、TLO(Technology Licensing Office)を利用してみてください。
TLOのデータベースにアクセスし大学の先生に申込み、技術指導契約を結び、TLOと費用面での契約を結ぶことになります。

TLOは既にある権利のライセンスを行うことが基本業務となりますので、ぴったり合うものがあるとは限りません。したがって、大学の先生と共同研究や共同開発をしたい場合にはTLOが対応してくれるとは限りませんので自分で出身大学に問い合わせるなりしてみましょう。


チーたん
なんだか楽しみになってきたよ!