アメリカと違い、日本では契約の前に契約書を交わすという習慣がありません。

しかし、目に見えない権利である知的財産権の契約は慎重に取り決めておかないと、後になって大きなトラブルになる可能性があります。
泣き寝入りをしないためにも、予め契約書を交わしておきましょう。

チーたん

ねえ、ふっくんはいつも他人と知財を売買したりライセンスを結ぶ前には契約をするように、って言っているけど、なんで契約しなくちゃいけないの?

普段買い物するときは契約なんてしないし、ゲームや漫画を借りるときも契約なんてしないよ。

ふっくん
知的財産権は、一般の物と違って、目に見えませんし手に触れることもできません。

なので、口約束だけでは簡単に約束を破ることができてしまうのです。

ふっくん
それに、仲の良い会社だから、契約書なんていらないといっても、いつまでその友好関係が長続きするかわかりませんし、トラブルが起きた場合に、お互いが自分の権利を主張し合って、仲が決裂してしまう可能性もあります。

ですから、事前に契約書を書いておいて無用なトラブルを避けるのです。

あいぴー
以前うちの大事な本をチーたんに貸したときに水で濡らされて喧嘩したことを思い出したわ・・・
チーたん
う、そのことはもう忘れてよぅ。反省しているよ~
あいぴー
著者のサイン本だったから弁償だけでは済まされんで・・・
チーたん
えーっと、著者といえば、著作権についても契約書は書いたほうがいいんだよね?(^^;
ふっくん
もちろんですよ。
あいぴー
著作権のライセンス契約はどんなふうに書けばいいん?
チーたん
あ、あいぴーの機嫌直った!

ふっくん
いろいろなバリエーションがありますよ。

まずは対象となる著作物を特定します。

それから、許諾内容、つまり上演を許諾するのか放送を許すのか、出版を許すのか、電子出版はいいのか等を決めます。


ふっくん
さらに許諾地域、つまり日本だけか、外国もいいのか等書きます。

それから、独占的なライセンスなのか、通常のライセンスなのか、他にもロイヤリティの計算方法や支払い方法、有効期間、秘密保持等は欠かせません。

あいぴー
たくさんあるんやな!そんなにあったら書き忘れることがありそうで心配やな
ふっくん
多額の金銭が絡む場合には、弁護士にお願いして契約書を作成したほうがいいですよ。
チーたん
半端な契約書を作っても逆にトラブルの基になるもんね。
ふっくん
事後的に訴訟で争うよりも、事前に契約書を作っておいたほうが、時間的にも金銭的にも節約になりますよ。

ここで、契約書を受け取った時のチェックポイントについてあげておきましょう。

ふっくん
まず、文言が明確かどうか確かめます。いく通りにも解釈できてしまっては契約書として信頼できません。気になる文言があったら、相手方に問い合せましょう。

また、対象となる特許や商標等がきちんと指定されているかチェックします。抜けていたり漏れがあると将来的に争いになる可能性があるので気をつけてください。

ふっくん
次に、契約が公平かどうか調べます。こちら側だけ一方的に不利な契約になっている場合だけでなく、こちら側だけに有利な場合も注意が必要です。

民法90条により無効とされたり、独占禁止法に引っかかる恐れもあります。

さらに、秘密保持規定や契約期間についても必ずチェックしてください。

再実施許諾(下請け会社にサブライセンス)をしてもいいのかのチェックも必要です。

ふっくん
外国企業と契約する場合は、日本とはルールが違うので気をつけましょう。単純に日本の慣習や法律を当てはめると思いがけないトラブルにあってしまいます。

管轄裁判所は日本国内に指定しておいたほうがいいですね。

あいぴー
随分たくさんチェックポイントがあるんやな
ふっくん
まだまだたくさんチェックポイントはありますよ。

ただ、すべてを覚えなくてもいいでしょう。

知的財産の契約はかなり特殊で専門的な契約書になるので、専門家に意見を求めてください。

チーたん
じゃあ、契約するときにまた聞きにくるね!
ふっくん
いつでもどうぞ
あいぴー
今度チーたんに本を貸すときは契約書にサインしてもらうで
チーたん
まだ怒ってたのっ∑(-o-;!!