「営業秘密が社員から漏れた」なんていうニュースを聞くことがありますが、そもそも営業秘密とは何なのでしょうか。
特許権のような知的財産権とは違うのでしょうか。

どのように守り、活用すればいいのでしょうか。

あいぴー
ベネッセで顧客データが流出したってニュースになったけど、こういった顧客データや営業マニュアルなんかは知的財産権で保護されるん?
ふっくん
不正競争防止法で保護されますよ
あいぴー
どんなを手続をすればいいん?
ふっくん
特許権や意匠権、商標権と違って、特許庁に対して出願をするようなことはしなくていいんです。

あいぴー
楽でええな。
ふっくん
でも、”営業秘密”の要件を満たしていないといけませんし、立証が難しいですから、楽ではないですよ
あいぴー
要件ってなんやの?
ふっくん
営業秘密と認められるには、秘密管理性、有用性、非公知性の3つの要件を満たしていないといけません。
ふっくん
まず、秘密管理性ですが、その情報にアクセスできる人が限られていることと、アクセスした人にその情報が秘密であることが認識できるようにされている(たとえばパスワードを設定する。その表示が出る。外部パソコンの持ち込みを制限)ことが必要です。

次に有用性ですが、同業他社にとって高い財産的価値を有するものであることが必要です

チーたん
発明をしているときにいっぱい失敗したんだけど、こういうデータは?
あいぴー
そんなんあかんやろ

ふっくん
いいえ、ネガティブ・インフォメーションはそれがあれば、不必要な研究開発費用を節約できるわけですから、立派な営業秘密ですよ

チーたん
じゃあ、ライバル社の社長はカツラなんだけど、そういう秘密は?

ふっくん
不正競争防止法が保護する”営業秘密”にはなりません。役員の脱税や脱税方法のマニュアル、スキャンダル情報なども該当しません。それらは公序良俗に反するので法的な保護は受けられないのです。

あいぴー
人の弱みにつけこむのはフェアじゃないわな

ふっくん
さて要件の3つ目の非公知性ですが、これは一般には知られていない状態にあることが必要です。

例えば、企業がホームページに載せている情報は誰でもアクセスして見ることができるわけですからこの要件を満たしません。


あいぴー
営業秘密ってどれくらいの期間守られるん?

ふっくん
特許権や意匠権とは異なり、要件を喪失しなければ半永久的に知的財産権として認められますよ

あいぴー
それええな!お金だして特許を取るよりええんちゃう?

ふっくん
先ほども言ったように、不安定な権利なんですよ。営業秘密が漏れないように管理するにはお金もかかりますし。

チーたん
銀行の貸金庫にしまってあいぴーしか取り出せないようにしておいたら?

ふっくん
それでは”有用性”の要件を満たせなくなってしまうでしょうね。

ふっくん
それに、他人に知られるのを恐れて使わないというのが営業秘密における最大のリスクともいえます。
「秘伝の巻物」なんて孫の代に伝わる頃には陳腐な技術になっていますよ。

あいぴー
たしかに、有用な情報も使用しなければビジネスの役に立たへんわ

ふっくん
いつも言っているように、知的財産は持っているだけでは意味がないのです。活用しないと!

ふっくん
保護することも大事ですが、積極的に活用し、事業に役立ててくださいね

あいぴー
そういえば、お気に入りの服、タンスの奥にしまったままや。たまにはおしゃれして出かけるわ

チーたん
洋服の所有権も永遠だけど、その服が似合う期間は有限だからね。若いうちにおしゃれを楽しんで!