個人発明家が発明や考案をしたときに、それでどんな知的財産権を取得するか悩むことがあると思います。
発明ほど複雑な技術を使っていない考案の場合、実用新案権や意匠権の取得をするのが好ましいでしょう。

チーたん
ねえねえ、見て。台所のお役立ちグッズを発明しちゃったよ。
こんなのでも特許をとれるのかな?
ふっくん
自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものなら特許をとれますよ。
チーたん
こんな単純な発明、全然「高度」じゃないから無理そうだね(^^;
せめて実用新案権を取れないかな?
ふっくん
特許権のほうが実用新案権よりも複雑な技術について保護できるというわけではないんですよ。
特許をとれないような発明だから仕方なくとった実用新案権なんて何の価値もないのですから、取らないほうが良いですよ。
チーたん
う、勘違いしていたよ。簡単な発明は実用新案権で保護してもらえばいいやって思ってた
ふっくん
実用新案権はほとんど取得されていませんし全く活用されていません。
単純な発明は特許法や実用新案法での保護を求めるより、意匠権を取ったほうが良いでしょうね
チーたん
意匠権?デザインを保護するんだっけ?
ふっくん
そうです。物品の外観を保護してくれますよ。
単純な考案を権利化しても権利行使できませんが(正確にいうと一応権利行使できるが、逆にこちらが損害賠償責任を負ってしまう可能性も高い)、見ただけで同一や類似が判断できる意匠権なら権利行使も楽ですしね。
チーたん
なるほど!
ふっくん
発明や考案は「言葉」で権利範囲が特定されるので、特許出願するのは難しいですよね。それに比べて意匠は、図面や写真を提出すれば良いのでずっと簡単ですよ。
費用も安いですしね。
チーたん
意匠登録出願した場合も、発明や考案と同じように「新規性」が必要なの?
ふっくん
はい。それから「進歩性」も必要です。
意匠の場合は「創作非容易性」という言葉を使いますが。
チーたん
実用新案と意匠の保護対象ってそれぞれ何なの?
ふっくん
実用新案は、物品の形状、構造又は組合せを保護します。
意匠は、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものを保護します。
チーたん
どちらも物の見た目を保護するんだね。
ふっくん
はい。しかし、実用新案は、考案を「言葉」で表現しますので、権利範囲が不明確です。

一方、意匠の場合は見た目ですぐに同一かどうかを判断できるので、見た目がそっくりならすぐに権利行使(差止請求や損害賠償請求)をすることができます。

チーたん
じゃあ意匠権を取ったほうが良さそうだね。
ふっくん
そうですね。一番良いのは、特許権と意匠権を両方取ることですが、金銭的な理由で特許が無理なら、意匠権を取るようにしてはどうでしょうか。

実用新案権は取らないほうがいいですよ。