手紙やメールは日常的にやり取りされるものです。月並みな「お知らせ」もあれば、芸術的な文章もあるでしょう。
さて、特定の人に宛てられた手紙を他人に見せたり出版するという行為は著作権の侵害になるのでしょうか
当時は作詞家に憧れていたから中二病的なポエムばかり書いていたんだよ
友情の証や。うちのサイトにアップしたるわ
憲法では表現の自由を保護するために通信の秘密を認めているくらいですからね。
芸能人もゴシップをまき散らすことによって仕事を得ている面もありますから、一般人とは扱いが違います
でも、著作権の侵害にはならんやろ?
そもそも手紙は著作物やないやろ
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
単なる通信文や代金の督促などは「創作的」ではないので著作物として認定されるのは無理ですが、通常の手紙なら、十分にその著作物性を認められることでしょう。
著作権は、独創性に溢れた芸術的に優れたものに認められる権利ではありません。
著作物の中に著作者の個性が現れていればよいのです。
小学生の書いた作文にだって著作物性は認められますよ
でも、もらった手紙を捨てたり破ったりしても法律違反にはならんのやから、手紙をどんな風に扱おうが権利侵害なんて起こらんやろ
著作権と所有権は違いますよ。
所有権は有体物に認められる権利であり、著作権は無体物について成立します。
たとえば、ある小説が出版され、それを購入すると、購入した人はその本の所有権を有します。
作家は自分に著作権があるからといって、本を買ってくれた人からその本を取り上げることはできません。所有権はその本を買ってくれた人にあるわけですから。
一方、出版された本についての著作権は作家に留まります。
そのため、本を購入した人が作家の著作権を侵害する行為、たとえば複製や公衆送信などを行うと、作家の著作権の侵害になってしまうわけです。
ですから、もらった手紙は棄てたり破いたりすることはできますが、その手紙を写真に撮ってブログにアップしたり人に配るためにコピーすることは著作権の侵害となり許されません。
コピーする行為は複製権の、ブログにアップする行為は公表権の侵害になりますから。
引用なら著作者に無断で出来るやろ
これに関しては三島由紀夫事件が参考になります。
これは、三島由紀夫の死後において三島由紀夫から被告福島に宛てた手紙を載せた書籍が出版されたところ、三島由紀夫の相続人が執筆者、出版社及び出版社局長を訴えたという事件です。
当該事件の訴訟においては、「本件各手紙は、特定の者に宛てられ、特定の者を読み手として書かれたものであって、不特定多数の読者を想定した文芸作品とは性格を異にする。しかし、本件各手紙は、いずれも、三島由紀夫の思想又は感情を、個性的に表現したものであることは明らかである」として手紙の著作物性が認められ、原告の「複製権及び公表権の侵害である」旨の主張が通りました。
また、出版社らには故意・過失があったとして共同不法行為が成立しています。
たとえば、漫画家にファンレターを出して、それに対して返信の手紙がきたので友達に自慢するために見せるという行為は問題ありません。
それをSNSでアップすると問題になってしまいますけどね。
・・・というわけで、私もチーたんの書いた手紙を見てもいいですか?