ブランドは育てることも大事ですが、せっかく大切に育てても、「使えなくなってしまう」危険性を秘めています。
自分の責任によって使えなくなることもあれば、善意の一般人の使用により使え無くなることもあります。
ブランドが有名になるということは、嬉しい半面、社会的影響も大きいので注意する点があります。
本当に必要なドメインだったら、更新のし忘れで登録が抹消なんてビジネス上大損失だからね
更新されるのは商標権だけですよ。
商標権の更新登録は、権利が切れる日の6ヶ月前からできます。ドメイン名業者ほどしつこくお知らせはしてくれませんが、特許庁から更新登録のお知らせが会社の住所へ届きます。
ですが、住所変更をしたあと特許庁へそのことを届け出ていないと特許庁からのお知らせが届かず、更新登録申請をし忘れて権利がなくなってしまうという恐れもあります。
重要な情報はクラウドにあげておくようにしましょう。
知財部がない会社は、特許事務所に頼んでおけば、期限管理も全てしてくれるので楽ですよ。
ライセンスを受けるときなども登録してください。
商標は、指定商品・サービスについて実施していないと、不使用取消審判で取り消されてしまうことがあります(商標法第50条)。
また、適切に使用していない場合も同じように取り消される可能性があります(商標法52条の2、53条、53条の2)。
自分の商標の適切な使用も大事ですし、他人の商標を不正目的で使用するのもいけませんよ。
それから、他人が自分の商標を使用するときには監視する必要があります。
ただ、商標をライセンスしているときだけでなく、一般の人や他社が使う場合にも監視をする必要があります。
これを希釈化(ダイリューション)といいます。
たとえば、ソニー株式会社とは関係ない人が、貸金業に日本橋ソニーや神田ソニーといった商標を使うと、ブランドの希釈化が起きます。
ソニーはこの侵害者たちに対して迅速に差し止めや損害賠償を請求しました。そして、ソニーブランドの著名性ゆえに、訴えは認められました。
すると、この「クレパス」という言葉は商標なのですが、この歌を聞いた一般消費者は、「クレパス」をクレヨンの普通名称だと思い込んでしまいます。
すると、商標法が保護する「自他商品識別機能」が失われることになってしまいます。
同じように、「クレパス」が普通の名称と認識されてしまうと、指定商品「クレパス」に対して商標「クレパス」で出願していることになってしまいます。
それでは商標権を登録しておく必要がなくなってしまいますよね。
むしろ、そんな普通の言葉は登録を取り消して誰にでも使わせるべきです。
たとえば、うどんについて、”うどんすき”という商標がありましたが、誰もが使ってしまった結果、普通名称になってしまい、商標の重要な機能である識別機能が失われてしまいました。
「エスカレータ」というものがなかったときに「エスカレータ」という言葉が現れると、一般の人はその言葉しか選択肢がないので、普通に「エスカレータ」という言葉を使うことになります。
商標は大切にすべきです