著名な商標は、たとえ非類似の商品に付された場合でも、商品の出所の混同を生じることがあります。

たとえば、GUCCIやポルシェという商標がその会社が販売していない商品やサービスに付されていた場合、需要者はその会社の商品かと勘違いしてしまうでしょう。

そこで、そのような商標の出願は登録されないことになっています(商標法4条1項15号)

あいぴー
新しい財布をデザインしたで。題して、
「iPaid」や!
他人に取られる前に、商標登録出願しといてな
チーたん
iPaidって・・・
どう見てもiPhoneの便乗ネーミングだよ
あいぴー
指定商品は「財布」やで。アップル製品と勘違いする人なんかいるわけないやん
チーたん
なんか気になるな・・・
一応ふっくんに聞いてみよう
ふっくん
あいぴーの商標登録出願は、商標法4条1項15号で拒絶されます
チーたん
ほらね

商標登録を受けることができない商標

第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

十五  他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

あいぴー
指定商品は非類似やん
ふっくん
混同を生じるかどうかについては、

・その他人の標章がどれだけ有名か(広告・宣伝等の程度や普及度。必ずしも全国的で有名である必要はない)
・その他人の標章が創られた標章であるかどうか
・その他人の標章が社標(ハウスマーク)であるかどうか
・企業が多角経営をしているか又はその可能性があるか
・商品間・役務間または商品と役務間の関連性

等を総合的に考えて判断します。

「iPhone」「iPad」は世界的に有名ですよね。

この「iPaid」が付された財布を見た需要者の中には「これはアップルが出している製品なんだな。または子会社が販売しているのかもしれない」と考える人が出てくるでしょう。

あいぴー
それはそれでエエやん
あいぴー
だーかーらー、駄目なんです。商品の出所を混同してしまうでしょ?
名前だけアップル製品っぽくて、実際はアップルとは縁もゆかりもない零細企業の製品なのに
あいぴー
零細企業と言うなや!中小企業や!
チーたん
でもさ、あいぴーの販売した財布が粗悪品で、どう見てもアップルが販売している製品に見えない場合は?
だれも出所を混同しないでしょ?
ふっくん
その場合は、商標法4条1項19号が適用されます。
あいぴーには「不正の目的」が認められますからね。
あいぴー
うちを勝手に悪者にすんなや!
ふっくん
「不正の目的」かどうかは外形的に見て総合的に判断します。
私があいぴーという人を個人的にどう思っているかは関係ありません
チーたん
うちの商標がアップル程ではないにしても有名になったら、他社が類似商標を非類似商品について商標出願するときに拒絶の理由となれるのかな?
ふっくん
もちろんですよ。そのためにはかなり有名にならないといけませんけどね。

なお、その他人の商標登録出願時と査定時の両時において著名である必要があります。

チーたん
なるほど。斬新な製品を創って効果的な名前を付けて超有名にしたいな。
あいぴー
うちの「iPaid」はどうすればエエの?
ふっくん
犯罪者になりたいなら使い続けてください
だいたい、以前も他人の有名商標の類似商標を出願して商標法4条1項10号違反の拒絶理由通知を受けたでしょう?
あいぴー
I Paid for it…
チーたん
上手いね(笑)ネーミングはいつも不味いけどw