無体の財産権の一つである著作権は、売ったり貸したりすることにより収益を得ることができます。
しかし、有体物とは違うその特殊性から取り扱いには注意が必要です。
特に、特許権や商標権と違い、著作権は、複製権(著作権法21条)や口述権(著作権法24条)、展示権(著作権法25条)、貸与権(著作権法26条の3)・・・といった権利の束であるため、そのひとつ一つについて売ったり貸したりすることができるという点です。
あいぴー
著作権って売れるん?
ふっくん
著作権は財産権ですので売り買いできますし、その一部又は全部を売買することもできます(著作権法61条1項)。
ここで、”著作権の一部”とは、例えば複製権(著作権法21条)だけ、とか展示権(著作権法25条)だけ、というようにたくさんの著作権のなかの一部という意味です。
あいぴー
そんなん面倒やから、売るときは、一部だけやなくて、全部売ってしまえばエエやん
ふっくん
でも、たとえば貸与権(26条の3)を留めておけば、他の著作権を売ってしまっても、著作物を貸して収入を得ることもできますよ
あいぴー
それじゃ、著作権の全部を売る時には多めに支払ってもらわんとな。
もちろん、うちが著作権を全部買い取るときには多めに支払うし
あいぴー
そうなんや。複雑やな。
でも、エエこと聞いたわ
ふっくん
著作権の売買のときには、もうひとつ、著作者人格権についても注意してください。
たとえ著作権の全部を買い取っても、著作者人格権だけは依然として著作者に残ります。
したがって、後に著作者が著作者人格権の侵害として訴えてくる可能性もあります。
それを阻止するためにも、契約で”著作者人格権を行使しないこと”という規定も盛り込んでおくべきでしょう
あいぴー
人格権なのにそんな契約してエエの?
ふっくん
同一性保持権(20条)を後になって行使されてしまうと、著作権を買った側は、ちょっとした訂正やデザインの変更もできなくなってしまいます。
したがって、人格権を行使しないという契約は、著作権を買い取る側を守るために結んだほうがいいと思いますよ。
もちろん、著作権を買い取った人が、著作物を勝手に別の人の名前で発表してしまうというような酷いことをすると、たとえ契約で著作者人格権を行使しないという約束をしていても、契約は人格権の不当な制限であり無効であると主張することができるでしょう
あいぴー
売る方としては著作権不行使の契約はしたくないし、買う方はそんな契約をしてもらわないとあとになって怖いし、悩ましいな
ふっくん
そうですね。お互いが歩み寄り、誠実に契約を結ぶことができるといいですね