特許法だけに限らず、実用新案法も意匠法も商標法も第1条に法目的が掲げられています。
あまりにも基礎的で軽視しがちですが、もっとも重要なところです。

チーたん
特許法って何のためにあるの?
ふっくん
特許法の法目的を定めた第1条を見てみましょう。

目的

第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

ふっくん
つまり、特許法は、どんどん発明をしてくれ!と言っているのです。
発明をすることが、産業の発達に繋がるからです。

しかし、発明を促すだけでは発明者の保護を図れません。また、利用を促進させすぎると、発明者の発明意欲を無くします。

そこで、特許法は「発明」の保護と利用のバランスをとるため、様々な規定を置いているのです。

チーたん
なるほど。新しい発明が実用化されると、新しい産業を産んだり雇用を生み出したりするわけだから、産業の発達に大いに貢献するよね。
ふっくん
実用化されなくても、文献として利用されるだけでも役に立つことがあります。
その文献を見て新しい改良発明が生まれることもよくありますから。
チーたん
あ、そうだね。ぼくも論文を見て、改良発明をしたことがあるよ。
ふっくん
さて、特許法では、発明の「保護」を図るために、たとえば、特許権の保護期間を出願日から20年としています。
チーたん
特許権者としてはもっと長くして欲しいと思うけど、長すぎると、今度は自分が他者の発明を使いたいときに困るし・・・、20年って妥当だね。
ふっくん
なお、特許権が成立するまでいつまでも発明の内容が公開されないのでは二重に発明を進めてしまったり無駄が多いので、特許出願をしてから1年6ヶ月経過後には強制的に発明を公開する出願公開制度というものを設けています。
これにより発明の「利用」が図られます。
チーたん
発明者としては発明をいつまでも秘密にしておきたいけど・・・、仕方ないね。
ふっくん
なお、この他にも発明を「利用」する規定として、実施権の設定・許諾など様々な制度がありますよ。
チーたん
特許権は財産権だから発明者自身が活用しなくても他者に売ったり使わせたりもできるんだね。
ふっくん
そして、権利侵害者に対しては、差止請求や損害賠償請求などもできますよ。
チーたん
特許法って「権利を独占するだけ」というネガティブなイメージがあったけど必ずしもそうじゃないんだね。
ふっくん
使い方次第ではそうなりますが決して悪い法律ではありませんよ。

なお、特許法や商標法など産業財産権は、発明の保護と利用のバランスをとるため、頻繁に法改正が行われますので、注意してください。

チーたん
それは面倒だな(^^;