特許、商標、意匠のいずれも外国へ直接出願するよりも、安価で容易に外国で権利を取得することができる制度があります。
法を跨いで比較して覚えると理解しやすくなりますよ。

あいぴー
外国で商標を採りたいのやけど、PCTみたいに特許庁を受理官庁として出願手続きをすればエエんだっけ?
チーたん
まず基礎出願か基礎登録が必要だったはずだよ
あいぴー
意匠も基礎登録が必要やったかな?
チーたん
う~ん・・・?
よくわかんなくなっちゃった
あいぴー
しっかり勉強せぇよ!
チーたん
あいぴーに言われたくないよ!w
ふっくん
条約はそれぞれ制定された時期や締約国、手続き、費用などが違うので混乱しないようにしてくださいね。
チーたん
以前それぞれ学習したはずなんだけど忘れちゃったよ(^^;
まとめて教えて
ふっくん
わかりました。
まず、それぞれの制度を一言でいうと何か、ということですが、

PCT: 包括的な各国への出願手続き制度
マドプロ: 本国における商標登録の他の加盟国への領域拡大
ハーグ/ジュネーブ: 国際的な出願・登録制度

と言えます。
つまり、PCTの場合は出願手続きは一度で済みますが、保護を求める国ごとで登録を受ける必要があり、マドプロの場合は、外国へ出願する前に本国での出願か登録が必要です。
そして、ハーグ/ジュネーブの場合は、出願手続きも登録手続きも一度で済みます。

マドプロとハーグ/ジュネーブは、国際出願時に保護を求める国を指定しますが、PCTの場合は国際出願時にみなし全指定されます。
事後指定はPCTとハーグ/ジュネーブでは不可能ですが、マドプロでは可能です。すなわち、国際登録後において新たな国の指定や、国際登録の指定商品・役務の範囲内での指定商品・役務の追加が可能です。

あいぴー
ああ、そうやった。失われていた記憶が蘇ってきたわ・・・。
チーたん
もともと勉強していないでしょ!
あいぴー
そう、私の正体はプリンセスセレニティ・・・
チーたん
あいぴー、頭大丈夫?!
ふっくん
プリンセスさんも真面目に聞いてくださいね。
出願時の手数料の納付先ですが、PCTの場合は受理官庁が徴収するのに対し、ハーグ/ジュネーブの場合は出願料+5年分の登録料を国際事務局に一括納付します。マドプロの場合は、出願料と登録料を加盟国の宣言により一括でまたは二段階で納付します。
あいぴー
そうよ。ハーグの場合は一括納付なの。エンディミオンは二段階でもいいのだけどね
チーたん
テキトーなこと言って勉強の邪魔しないで!
っていうかエンディミオンって何!?
あいぴー
タキシード仮面に決まっとるやん
ふっくん
あいぴー、うるさいですよ。
あいぴー
雇い主によくそんな態度とれるな、ふっくん
ふっくん
軽々しくタキシード仮面なんて呼ばないでちゃんと「様」をつけてください
チーたん
ふっくん・・・
あいぴー
・・・
ふっくん
国際公開(公表)の時期ですが、PCTの場合は優先日から18月後(1年6月後)です。
マドプロに国際公開制度はありません。
ハーグ/ジュネーブの場合は、原則として国際登録から6月後です。国際公表の延期の請求(最長で30月)が可能です。
チーたん
ここは重要だね!特にハーグの場合の国際公表の延期の請求とそれに関連して日本の意匠法14条(秘密意匠)が適用されないという点も重要だね!
あいぴー
そう。私の正体がプリンセスセレニティだということは秘密なの・・・
ふっくん
言っておきますが、これらの制度は条約に加盟している国でしか通用しませんからね。残念ながら月(地球外)ではこれらの協定は効果を有しません。
チーたん
ふっくんも真面目に答えないの!
ふっくん
保護の期間は、PCTの場合は、国内移行した先の国の制度によります(たとえば日本の場合は出願日から20年)。
マドプロの場合は10年ごとに更新できます。
ハーグ/ジュネーブの場合は、協定上の要件は15年です(日本の場合は登録日から20年)。
あいぴー
プリンセスセレニティとエンディミオンの愛は永遠なの
チーたん
はいはい
ふっくん
使用言語はPCTの場合は、日本語または英語です。
マドプロの場合は、英語(日本の場合)です。
ハーグ/ジュネーブの場合は、英語、フランス語、スペイン語のいずれかです。
あいぴー
My name is Aipy.
チーたん
Shut up!
ふっくん
さて、国内移行手続きが必要なのはPCTだけです。マドプロとハーグ/ジュネーブの場合は、国内移行手続きは不要です。
チーたん
この点は大きいね!
ふっくん
また、PCTの場合は国際調査や国際予備審査があります。
マドプロとハーグ/ジュネーブにはありません。
チーたん
商標や意匠は、技術的思想である発明と比べたら審査が容易だもんね
ふっくん
保護の効果についてですが、PCTの場合は、各国に同時に出願したと同じ効果が与えられます。マドプロの場合は、各指定国での審査結果が登録となった場合、国際登録日の国内出願と同等の保護を付与されます。

ハーグ/ジュネーブの場合は、国際登録の日から、各指定国に出願していたと同様の出願の効果が与えられます。
各指定国での審査結果が登録となった場合、国内法に基づく保護の付与の効果が与えられます。

・・・とまあ、こんなところですかね。
おわかりいただけたでしょうか?

チーたん
うん!比較すると難しい条約もわかりやすいね。
ふっくん
外国出願、頑張ってくださいね
あいぴー
立派なセーラー戦士になれるように頑張る!
チーたん
まったくもう!
ちゃんと勉強しないとふっくんに代わってお仕置きよ!
あいぴー
うわっ。いい年して恥ずかしいわ、この人・・・
チーたん
・・・(T T)