事業と知的財産は切っても切れない関係にあります。
資金や設備に乏しい中小企業でも、知的財産権を有効活用すれば、大企業に負けないほどの力を得ることができます。
ここでのポイントは、「差別化」と「集中」戦略です。
まず、3つの基本戦略をあげてください。
①コストリーダーシップ戦略
②差別化戦略
③集中戦略
この3つの戦略のうち、①は薄利多売を狙うので大企業にしかできません。
ですから、中小企業がとるべき戦略は、②か③、または②+③となります。
③だけではなかなか売上に結びつかないので、通常は①か②とプラスします。
②の差別化は知的財産権を取得することによりさらに加速させることができます。
ブランド、つまり商標権の取得は必須となります。
意匠権を取得してデザインを守ってもいいですね。
技術力のある会社は特許権も取得してください。
ここでもAIPブレンドですよ!
復習しておいてください!(笑)
知的財産権の種類によってもそれが効果を発する相手が違いますので注意が必要です。
たとえば、一般消費者に対して特許権の存在を主張することはほとんど意味がないので、BtoCの会社では意匠とブランドに気を配ることが重要です。
一方BtoBの会社では、特許も大事です。
技術力の存在により「優位性」を示すことができます。
たとえば、多機能の製品より、コスパに優れた製品を好む客層も多数いますよ。
高品質高価格の服よりも、安いのにそれなりに品質の良いコスパに優れたユニクロのファンという人はたくさんいますよね。
ペルソナを具体的に描きだしてみるのもいいでしょうね。
気をつけたいのが製品を作るときでも広告を作るときでも、ターゲットと違う性別、年代の人が妄想でターゲットを作らないということです。実際にリアルな人間と話して意見をもらうべきです。
そのため、自分の持っている「この国の男はこんな感じだろう」という妄想の人に対して売れる製品を作り上げてしまうおそれがあります。
そんな製品は、リアルな「その国の男性」には売れません。
「日本らしさ」は重要ですが、そこにこだわり過ぎないことも大事です。
たとえば、日本の食文化である寿司を海外に持って行って、頑固に「日本らしさ」にこだわるよりも、ローカライズされたお寿司の方がお客様に喜ばれるかもしれません。
事実、東南アジアではトロピカル寿司が流行っていますし、各国ごとにいろいろなバリエーションの寿司があります。
中国の餃子はそもそも水餃子が当たり前で、主食として食べられるものなのに、餃子の王将は、日本のおかずとして食べられる焼き餃子をそのまんま中国に持って行きました。
美味しいものなら受け入れられると思ったのでしょう。
残念ながら中国市場から撤退することになってしまいました。
諦めるまでは失敗ではありません。
そうはいっても、外国に進出するときは、自分の当たり前を基準にしないように気をつけなければいけません。
難しいですがね・・・。
焼き餃子、美味しいから誰でも好きだと思っちゃいますよね・・・
・・・話を戻しましょう。
妄想のターゲットの話に戻りますが、 顧客の琴線に響くと思って使った用語が相手を怒らせているかもしれない、ということには気をつけるべきです。
キャッチコピーやCM等を作ったら、必ず、そのターゲットと同じ人に見てもらった方がいいでしょう。
大失敗した例を挙げましょうか。
例えば、紀伊国屋書店で「本当は女子にこんな文庫を読んで欲しいのだ」フェアが行われました。男性店員がPOPを書いたのですが、それが世の女性たちを怒らせてしまいました。
女性を馬鹿にした男性の上から目線の押し付けに対し、反発した女性たちは紀伊国屋で文庫を買うことに拒絶反応を示しました。
同じように、ルミネでは、男性に媚びた生き方を推すセクハラCMを流してしまいました。CMを流すことにより服は売れずに、女性の怒りを買ったという哀れな結末になりました。
こういった事柄は、自分とは違う主義の人を下に見てしまいやすいので。
なかなかカミングアウトできませんしね。
まあ、これ以上ジェンダーの議論はやめておきましょう。
「集中」の話に移りますが、使える資金に限りがあるからこそ、中小企業はニッチトップを目指すべきです。
資金や人材を分散させてしまうと、「そこそこ」にしかなれません。
なんにでも「そこそこ」よりは、一つだけトップの方がずっと収益率が高くなります。
ですから、「捨てる」勇気が必要です。
収益を出している事業を手放してしまうのはもったいなくてなかなかできることではありませんが、経営の上手い人は、まだ黒字のうちに事業を売却し、その売却資金を得意領域へ投資しています。
自社は一体何の会社なのか、一度じっくりと考え、そこからずれる事業については儲けが出ていても捨てられる強さを身につけたいですね。