法はその法の制定された地域限定で効力があります。これを属地主義といいます。
当たり前のことなのですが、知的財産権の話になるとこの原則が抜け落ちてしまう人が多いようです。
基礎中の基礎なのでしっかりと覚えましょう。
これを「属地主義」といいます。
たとえば、シンガポールでガムを食べではいけないという法律があっても、日本国内なら
ガムを食べても全く問題はありません。
知的財産権に限定して言うと、各国の特許権、意匠権、商標権は、その国の法律によって定められ、特許権、意匠権、商標権の効力はその国の領域内においてのみ認められます。
最高裁では、BBS事件で属地主義の原則を以下のように定義しています。
属地主義の原則とは、特許権についていえば、各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味するものである。
たとえば、自社の発明がアメリカで実施されることが多いのにアメリカで特許出願して特許登録を受けておかなかったら、アメリカでは権利行使出来ません。
非常に優れた特許発明なのに海外で権利化していなかったため、海外で権利行使出来ず、あまり儲けることが出来なかった特許もたくさん存在しています。
知的財産を無料公開してしまったようなものですね。
もちろん高額ですので躊躇してしまうとは思いますが、日本で登録されたということは、全世界に特許の内容が公開されてしまうということですので、そこのところは肝に銘じておいてください。
場合によっては日本ですら特許出願せず秘匿してしまったほうがいい場合もあります。
しかし、もし技術情報が流出してしまったらそれで全てがおじゃんですからよく考えなくてはいけません。
特許出願しなければお金はかからないと思うかもしれませんが、秘匿し続けるのにもそれなりにお金がかかりますよ。
知財戦略やな・・・
特許独立の原則の例としては、他にも、日本で特許料の維持費を支払わなかったために出願から10年で消えてしまった特許権があったとしても、その特許権の存在を理由に海外の特許権が同時に消えてしまうようなことはありません。
海外での特許料の維持費の支払いが行われなかった時に初めてその特許権は消滅します。
商標権も同じように商標独立の原則があります(パリ条約6条(2)(3))。
特にサーバーの場所だけ外国なのに特許発明を実施しているのは日本だから侵害を免れるとか・・・。
インターネットの発達により国の境がなくなってしまっていることから、調整が必要になっています。
条約で決めるべきことかもしれませんね。
って言ったでしょ。
著作権のこと忘れていない?
あえて著作権のことは除外したのです。
というのも、著作権は創作と同時に自然に発生するものなので、他の知的財産権のように「他国での権利化」を考えなくて良いからです。
もっと短くなったほうがいいんですけどね。
あれは意匠権の侵害で訴えたん?商標権を取っているから侵害にはならんの?
著作権も意匠権も商標権も別々の権利です。
商標権を取ったから著作権の侵害にならないとか意匠権を取っていれば商標が保護されるというようなことはありません。
これも特許独立の原則や商標独立の原則と同じように基礎としてしっかり覚えておいてください。
しかし、日本国の出願から1年以上経っているようならもうPCT国際出願もパリ優先権を主張した出願も出来ませんから、中国での特許発明の実施(特許法2条3項)に関しては諦めるしかありません。
中国から日本へ当該侵害物品が輸出されているなら、輸入されてきたときに日本の特許権の効力が及びますよ。
アメリカのアーカンソー州では、Arkansasの発音を間違えると罰金をとられるんやで。
それから、イタリアではブスがビキニを着ると同じく罰金を取られるんや。
属人主義だったらぼくら罰金の払い過ぎで破産しちゃうよ!