特許法の基礎中の基礎、29条には「公衆」という言葉が出てきます。そのため、「公衆とは不特定多数という意味なんだ」と理解している知的財産権法学習者も多いことでしょう。
しかし、実は法律によって「公衆」の定義は違うのです・・・!
チーたん
あれ?この前ぼくが飲みの席で書いた落書きが社内掲示板にアップされてる!
誰がこんなことを!
誰がこんなことを!
あいぴー
うちやうち
チーたん
なんでこんなことするんだよ!
あいぴー
おもろいやん
チーたん
あいぴーは面白いかもしれないけど僕は全然面白くないから!
こんなへたくそな絵、誰にも見られたくないよ!公表権(著作権法18条)の侵害だ!
こんなへたくそな絵、誰にも見られたくないよ!公表権(著作権法18条)の侵害だ!
あいぴー
小さな会社の社内掲示板ごときで公表権の侵害も何もないわ
大げさに言わんといてや
大げさに言わんといてや
ふっくん
いいえ、れっきとした著作権侵害ですよ
あいぴー
なんでやの?
ふっくん
公表権は著作者に認められた人格権です。発表したくないものを他人が勝手に発表してはいけないのです。
あいぴー
でも、条文には「まだ公表されていないものを”公衆”に提示し~」って書いてあるやん。うちの会社みたいに小さくてアットホームな会社の社内掲示板で公表することは”公衆”に提示したことにはならんやろ?
ふっくん
いいえ、特定多数の前で公表することは公衆に提示したことになりますよ
あいぴー
”公衆”って不特定多数の人たちやろ?うちの会社の従業員はみんな顔見知りや!
ふっくん
特許法でいう”公衆”の定義は確かにそうかもしれません。
しかし、著作権法でいう”公衆”は違います。
しかし、著作権法でいう”公衆”は違います。
著作権法2情5項を見てください。
あいぴー
この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。
・・・?
・・・?
ふっくん
そうです。つまり、知らない人たちだけでなく、大勢の知っている人たちに公表することも公表権の侵害となるのです。これは、他人の著作物を顔見知りにだけ見せたからと言って著作権侵害ではないと言い逃れをすることを防ぐために規定されました。
ちなみに不特定の人になら少数に見せただけでもだめですよ。
チーたん
ほらね!あいぴーがやっていることは僕の人格的利益を傷つけたんだよ(´;ω;`)
あいぴー
う・・・、堪忍してや。ちょっと悪ノリしてしまっただけや。
ふっくん
公表権以外にも著作権法で”公衆”という用語が使われているときは「特定多数」を含みますから注意してくださいね。
たとえば、会社の顔見知りの人たちに「頒布」するだけでも著作権侵害になりますからね。
たとえば、会社の顔見知りの人たちに「頒布」するだけでも著作権侵害になりますからね。
チーたん
その場合は著作財産権の侵害になるね。
いずれにせよ、著作権侵害なのだから、軽率なことはやめてほしいよ(><)
いずれにせよ、著作権侵害なのだから、軽率なことはやめてほしいよ(><)
あいぴー
だから、謝っとるやん
ふっくん
親しい人だからこそ裁判に訴えることもできないんですし、あいぴーももう少しモラルを身に着けてくださいね
チーたん
人格権の侵害ってちょっとしたイジメにもなるからね!