本の朗読や絵本の読み聞かせは日常よく行われていることです。
では、それを動画投稿サイトにアップロードするとどうなるのでしょうか。

あいぴー
美人経営者がビジネス書を読み上げる「あいぴー社長のビジネス書朗読講座」をユーチューブで開始しようと思うんやけど、どうやろ?
チーたん
視聴者をガッカリさせてしまうから「美人」の部分は取ったほうが良いと思うけど、面白そうだね!やってみたら?僕も社員の一人として応援するよ!
ふっくん
ちょっと待ってください。あいぴーのやろうとしていることは、著作権侵害になる可能性がありますよ
あいぴー
営利目的やないで?広告なんか入れんし。
チーたん
著作権法24条と38条を見ると、「著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。」(著作権法24条)
「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」(著作権法38条)

と書いてあるよ。本を朗読したものをYouTubeにアップしても著作権侵害・・・この場合には口述権の侵害にはならないでしょ?

ふっくん
本を朗読してYouTubeにアップするということは、まず、本の内容を読み上げてビデオに録音又は録画することになります。すると、複製権の侵害となります(著作権法21条)。

また、録音・録画した映像等をyoutubeやブログでアップすると、公衆送信権の侵害となります(著作権法23条)

公衆送信権等

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

チーたん
知らなかった・・・!YouTubeに本の朗読をアップするのって著作権の侵害になるんだね!
あいぴー
自分の勉強のためにも本の朗読をしたいんやけど・・・。どんな場合でもYouTubeにアップしたらあかんの?
ふっくん
著作権者に著作物の使用料を支払って、許諾を貰えば可能です。
許諾を貰わずに本の朗読をしたいのなら、「引用」に該当するやり方でほんの少しだけ朗読すると良いでしょう。
一ページまるまる朗読するというやり方は許されませんが、1,2行を引用するのなら構いません。もちろん引用の要件を守ることが大前提ですよ。自分の意見などを述べた上でほんの少しだけ引用するという使い方をしなくてはいけません。

また、朗読したいだけなのだったら、インターネットにアップロードするのは極力避けるべきです。情報が瞬時に世界中に広まってしまいますから怖いですよ。
勉強のために朗読したいのなら自分だけでやるか、それではモチベーションが保てないというのなら、非営利の朗読会を開くと良いでしょう。

チーたん
あ、その朗読会に関係するのが口述権と著作権法38条の権利制限規定だね
ふっくん
そうです。
オフラインで開催する朗読会ならインターネットほど影響力はありませんからね
チーたん
非営利の朗読会を開くだけなら著作権侵害にはならないけど、その様子を録画してブログや動画投稿サイトにアップロードすると著作権侵害になってしまうんだね
ふっくん
そういうことです。
親が子供に読み聞かせをするのも著作権法上、何の問題も生じませんが、朗読をしている様子を動画投稿サイトにアプロードすると、著作権侵害になってしまうのです。
チーたん
ぼくもまだまだ著作権法の勉強不足だったよ。この機会にちゃんと条文を覚えよっと
あいぴー
知財担当のチーたん、頼んだで!
チーたん
他人任せにしていないで、あいぴーも少しは勉強してよ!